Morning/6-3

 また暫し街を見て、力強く足を踏み出した。

 それぞれが、フロアを調べて回る。何もないように見えたが、所々床や壁が破損しており、その間にゴミが挟まっていたりする。

 やがて、ヤスユキが息を呑む気配が伝わった。なにやら額を掌で叩いている。

「どうした?」

 シズカがそれに気がついて声をかけた。

「いや、こりゃあ……」

 そう言ったまま返事をしてこない。シズカは溜息をついてヤスユキの横に立った。

「何があったんだ?」

 ヤスユキは、黙ったまま体を横にずらした。その隙間に挟まったピンクの物を見て、シズカが固まる。

「な? どうしたもんか、だろ?」

「……」

 シズカが、固まったまま何も言い返せないでいると、ふたりの様子に気がついたトオルが駆け寄ってきた。

「どうしたのー?」

 ふたりの隙間に顔を突っ込み、覗き込む。

「え。あれ? これって、アレだよね?」

 確認するようにふたりの顔を見上げ、ヤスユキが苦笑いで頷くのを見て、トオルが顔を赤くする。

 そこに、アキがやってきた。

「何してんの、あんたたち。ちゃんと探しなさいよ」

 腕組みして、三人の後ろから声を掛けた。三人はその声に身を竦ませ、すぐさま振り返る。

「な、なんでもないよ! ねえ、ヤス?」

「あ、ああ。そうだな。さっさと探そう」

「何よ、怪しいわね。そこに何かあったの?」

 アキが後ろを覗き込もうとするが、必死に三人は遮った。ヤスユキがアキの肩を抱き、反転さそうとする。

「まあまあ、何もなかったから、他のを探そうぜ。ほら、そことか」

「え、何?」

 アキが釣られたようにそちらを見た。ヤスユキが肩を押してそちらに連れて行こうとする。

 その瞬間、アキが体を沈ませ、そのまま反転し、するり、とヤスユキの後ろをとった。三人が反応する隙もないまま、アキがその物体の前に仁王立ちになる。

「……何これ」

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