Morning/6
Morning/6-1
白い光に晒され、山積みにされた瓦礫は、すぐにも崩れてしまいそうだった。
朝の裏路地は、暗い中で見えなかったために隠されたように思えたゴミや生物がこれでもかと存在感を主張している。その中を通り抜け、四人はその廃墟の前に佇んでいた。
「ここか……」
ヤスユキが呟き、呆然とその光景をただ眺める。
シズカが眼鏡の上げながら、鋭い目線で周囲を観察していた。
トオルはヤスユキと並んで目を輝かせてビルを見つめている。
アキは、強い眼差しでその建物を、睨んでいた。
トオルの情報からこの場所を摑んだ四人は、いつもより早く、まだ朝も明け切らぬこの時間に、廃墟の前で揃い踏んだ。
最初の一歩を、無言でアキが踏み出す。男たちも、それに続いて、瓦礫の山を踏み越え、避け、進んでいく。
「どうしてこんな所に、ヒカルは来たのかな……」
トオルがコンクリートの塊を踏み越えながら、なんともなしに呟く。しかし、その気持ちは他の三人も同様だろう。
無言で、それに応えることもなく、それ以降は黙々と目的地へと進んでいく。
やがて、だだっ広いフロアが彼らを迎え入れた。自動ドアだったのだろうか。四角い入り口のようなものを潜り、何も置かれていない吹き晒しのコンクリートの床に立つ。
「崩れないかな……」
トオルが心配そうに呟く声すら、反響して大きく聴こえる。異様な、静けさだった。
四人は中央に集まっていたが、ふらり、とシズカがその場所を離れ、周囲を調べ始める。それを見て、頷きあい、三人も散らばった。
山のように、一箇所にコンクリートブロックや昔何かのオフィスだった名残なのか、机が積まれているが、それ以外は本当に何もない、広々とした空間だった。もしこれがただの探険だったら、ここでキャッチボールくらい始めたいくらいだ。
「おーい、これ、見てくれ!」
その山の中を調べていたヤスユキが、声を上げた。声はコンクリートに反射して、どこに居ても聴こえるくらい響く。
三人が集まってくると、そこにはキャンパスが置かれていた。
「なんだろうな、これ」
「誰かが、ここに来たことがあるんだろうな」
「どれも古い感じがするし、今とは関係ないかもね」
シズカが顔を上げ、奥に目をやった。
「このフロアは、見ての通り何もなさそうだ。あそこに階段があるし、上に行ってみないか」
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