Night/5

Night/5-1


「あいつの写真をネットに載せた?」 

 マキの発言に、アラタが素っ頓狂な声を上げる。だがマキは、平然と頷きアラタの方を見ることもなくキーボードを叩き続ける。

「うん、そうだよ」

「どうしてそんな勝手なことを。というか、どこでそんな写真手に入れたんだ」

「実はこのビルに防犯カメラ仕掛けてたんだよね。それで遡ってみたら、僕達が捕まった日に来てた」

 アラタが目を瞑り、こめかみを押さえる。

「……それはいいとしても、あいつに見つかったらどうするんだ?」

「逃げるよ。でも、このホームページからあいつが僕に辿り着けるとは、到底思えない。ちゃんと色んなとこ経由してるしね。大丈夫でしょ」

「甘く見たら、ダメだ」

 アラタが首を振る。やっと、マキがそちらを見た。

「解析なんかできなくても、これを撮った人間がいる、とわかったら、決め付けて証拠なんかなくても拷問するのがあいつらだ。見つかって、危険に晒されるのはマキなんだよ」

「でも、戦うなら、それくらいのリスク覚悟しないと」

 ぎり、と奥歯を嚙み鳴らして、マキは画面へと視線を戻した。だがアラタは、まだ不安そうに眉根を寄せてマキを見つめている。マキは溜息を吐いて、アラタに再び顔を向けた。

「大丈夫だよ。写真くらい世の中にいくらでも蔓延してるし、これが直接あいつの不利益に繋がるようには書いてない。ただ、こいつの情報が欲しいって書いてるだけだよ。〝ヒカル〟との関連の疑いあり、って載せてね。それで情報が集まってきたら、あいつにとってもいいことなんだ」

「だったらいいが……」

 アラタはまだ不満そうながらも、ネットに関しては確実にマキの方が詳しいこともわかっているので、そこで矛先を収め、瓦礫に腰掛けた。

「何か動きがあったら教えてくれ。それで、シンジロウとシュウは、どうだ?」

 話を振られると、シンジロウはゆっくりと立ち上がり、どこかへ消えた。それを見送って、シュウが口を開く。

「シンジロウ、なかったのかな」

「いや、だとしても何か言っていくだろうから、待っていよう。シュウは?」

 改めて訊かれると、シュウは口を尖らせ、慌てて姿勢を戻しながら手を振った。

「ないない。集めても、知ってたことばっか。なかなかそう簡単に辿り着けるもんじゃないね」

「まあな」

 すると、シンジロウがひとりの影を連れて戻ってきた。暗くて顔まではわからないが、女性のようではある。

「…………」

 シンジロウは黙ったまま女性を突き出し、月明かりに照らされる広間の中央に押し出した。

「お前は!」

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