Night/4-3

アラタは顔を顰めながら、呻きつつ言う。

「あんたも……〝ヒカル〟を、探してるんだろう……?」

 男の視線は、品定めするようにアラタの顔を舐め回した。

「こうして、あんたにまで辿り着いた、俺たちに、もう少しだけ、探させてみないか……? 必ず、見つけてみせる」

 男はアラタが喋り終えた後も黙って見つめていたが、飽きたように髪を放すと、立ち上がった。アラタの顔は床に打ち付けられる。

「つまらん。お前らが俺たち以上に情報を持っているとも、集められるとも思えない。やっぱり、交渉にもならなかったな。お前らなんか、何の役に立たないんだよ」

「お前こそ、何者だよ」

 マキが、鋭い視線で男を睨みつけた。男はその表情を不思議そうに眺める。

「ああ? 何だ、お前」

「……〝ヒカル〟は、高校生だ……」

シンジロウがまだ挑戦的なマキを腕で後ろに退けつつ、口を開いた。

「……だったら、高校に侵入して話を聞くのは、あんたたちにはできないだろう……。……それなら、どうだ……」

 なんとかマキの失点を取り消しつつ、条件を引き出そうとシンジロウが提案する。男は立ち止まったまま顔をシンジロウに向けていたが、話を聞くと、ゆっくりとシンジロウの許までやってきた。暫し睨み降ろすと、足を振り上げ、そのままシンジロウの頭を踏んだ。シンジロウの頭が床に打ち付けられる。

「ぐっ……」

「阿呆が。高校生の手先なんざ、幾らでもいるよ。最近の若い奴らは好奇心が勝って、ちょっと賢いと過信してる奴が簡単にクスリに手を出す」

 男はくつくつと笑って、マキの方に顔を向けた。

「で、お前は? 何か言いたいことあるんじゃないの?」

 皮肉気に口元を歪め、マキに訊く。マキは暗い目を前髪の間から送り、口を開いた。

「別に、ないね」

「ふうん」

男は面白そうに笑うと、足をシンジロウの頭からどけ、扉へ向かった。

「じゃ、考えといて。また来るから」

 男が手を挙げ、部屋を出て行った。

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