Night/4
Night/4-1
真っ暗で、光の届きそうもない部屋の中に、アラタ、シンジロウ、マキの三人が閉じ込められていた。
あれから、どれくらいが経っただろう。
あの後、シュウが捕まえられ、それを餌にそれぞれ呼び出された面々は為す術なく捕まり、暗い地下室に押し込められた。そして、それ以降何の接触もない。シュウは、最初に捕まったはずだが、この部屋に姿はなかった。
シュウはどうなったのか。
三人はまんじりとしないまま、時間の経過もわからずただ黙って座っていることしかできなかった。
あの日、電話が掛かってきて、呼び出された場所に赴くと、不意に後頭部を殴られ、気を失った。それは三人全員が同じで、あの小太りのヤクザと会話を交わしたものは居ない。
奴の目的はなんなのだろう。目を覚ました直後は捕まるまでの情報交換はしたが、この先のことは奴が来ない限り話しても意味もなく、腹も減って体力もなくなりつつある今は、ただ黙って事の成り行きを待つほかになかった。
だが、黙っていると、暗闇の中に、じっとりとした重たい湿り気が満ちてくる。そのまま呑み込まれ、ひとりになってしまうような錯覚を覚えた。
「ねえ、僕たちヤバいのに足を突っ込んだのかな?」
マキが、我慢できなくなって口を開いた。
「どうだろう。俺達自身がまだ何かをしたわけじゃないし、脅して終わりだとは思うんだけどな」
静寂が破られたことに救われたように息を吐き、アラタが楽観的な返す。
「……そう、簡単じゃないだろう……」
だが、重苦しく静かにシンジロウがそれを否定した。
「どうして?」
マキが口を尖らす。
「……〝ヒカル〟を追っている人間、というのは、そう、多くないんだろう……。……だから、俺たちが、捕まえられた……。……珍しかったんだな……。……そして、それをわざわざ捕まえた、ということは、向こうも、それほど情報を持っていない、ということだ……。……捕まえたからには、俺たちから、どんな情報でもいいから、得ようとする……。……奴の味方になる以外、無傷で解放は、されないだろうな……」
「じゃあやっぱり、あいつが来ないと何もわからないわけね」
結局奴が来ないと意味がない、という同じ結論に戻り、溜息を吐く。味方に誘われるのかどうかも、奴が来ないと結局わからない。つまり、陰惨な拷問を受ける可能性も、あるわけだ。
「でも、どうして僕たちを放置したんだろう。捕まえてすぐ、脅迫なり拷問なりすればいいのに」
「……時間が、必要だったんだろう……」
「何で?」
マキの質問に、シンジロウは首を振る。
「……それは、わからない……」
「でも、そう考えないと、説明がつかない。その理由がわかれば、俺たちにも何か有利に働くかもしれないな」
「残念だったな」
急に重い扉が開かれ、光が部屋を埋めた。
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