Night/3-3
アラタが続きを促す。
「裏、というのは?」
「っていうか、僕達が追ってるのが裏、みたいな? 表の〝天使〟の顔もさ、いずれそうやって自分に嵌まった女の子たちをクスリ漬けにして、人買いに売る算段だったかも」
「なるほど。ありえそうな話だ。シュウは?」
「え、え? えっと、そうだな、まず先決は、その消えた女たちを捜すことじゃないかな? 噂が本当なら、そこに逃げ込んでるかも」
「……どうだろう……」
呟いたのは、シンジロウだった。全員がシンジロウに目を向ける。考え込んでいたシンジロウは、それに促され、顔を上げた。
「……クスリと、女の売買は、切り離せないんじゃないか……。……両方とも、同じ元締めだったと、考えるほうが無難だ……。ということは、消えた女たちの元に、〝ヒカル〟が逃げ込むとは、考えられない……。……結果、女を売った金と、クスリを持って、逃げた可能性の方が、高くなる……。……つまり、〝ヒカル〟は、もうこの街にはいないんじゃないか……?」
「ああ、それは有り得るな」
アラタが頷き、難しい顔になる。それを伺うように、シュウが訊いた。
「その場合、どうするの?」
「あの怪しい男を追って、警察に情報を渡す。根本的ではないだろうけど、それで一応の解決をみれば、ある程度夜の締め付けも緩くなるだろ」
「じゃあ、今日はまたあいつを捜しに行く?」
「だね。それしかできることもない」
アラタが立ち上がり、シュウがそれに続いた。シンジロウもゆっくりと腰を上げるが、やはりマキは動かない。
「じゃ、行ってらっしゃい」
「ああ。お前も、気をつけろよ」
もう、来ないのか、などとは聞かない。彼らの関係性が見てとれた。ただ、アラタは苦笑いしながらマキに注意する。マキが不思議そうに顔を上げた。
「何で?」
「何で、って、ここに元締めの関係者がまた来るかもしれないだろ?」
「そっか。わかった。気をつける。あ、そっちの報告も聞かせてよ。こっちの調べものに追加したりするから」
「ああ、そうか。そうだな、でもまだ詳しいことが全然わかってないから、また明日、今日の調査と纏めて伝えるよ」
「ん、了解」
マキはそう言うと、またパソコンと携帯ゲーム機に戻って指を鳴らし始めた。残る三人は顔を見合わせ、廃墟を跡にした。
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