Night/3-2

四人には寝耳に水だった。ここに自分たち以外の人間がいるのか。知らないうちに誰かに使われているのか。

 話を聞くと、ここの四階で、その〝ヒカル〟と会っていたらしい。壊れるかもしれない上の階に行こう、などと考えたこともなかったので、上は盲点だった。

 そこで何をしていたんだ、と問い質したが、〝クスリ〟が切れて朦朧としているようだった女は、ヒカルがいないことがわかり、追求されると、怯えたように逃げ出してしまった。

 残された四人で言われた四階を見てみたが、確かに使用された形跡があった。こんな廃墟で「する」ことに興奮でも感じるのだろうか。残された残骸を苦々しく睨みつけ、四人はその場を跡にした。

 そんな事件があってから数日後、確かに端正な顔をした男が、このビルから出て行くのを度々アラタやシンジロウが目撃した。一体、このビルで何をしているのか。

 漠然とした不安を抱き、この場所を守るため、〝ヒカル〟を少しずつ調べることにした。

 その過程で、〝ヒカル〟がどうも夜の街で女に手当たり次第声をかけていること、その女たちは大抵がクスリ漬けであったようであること、いつしかその女たちは夜の街から消えていること、を突き止めた。まるで〝悪魔〟のような所業だった。

 そして、夜な夜な〝ヒカル〟が消えていっていたのがこのビルだった、というところまで調べたところで、奴の足跡が消えた。

 調べているうちに、奴がどうも失踪しているようだ、ということがわかってきた。そしてつい先日、元締めもどうやら探しているようだ、ということが荒らされた跡から推測されたのだった。

何故逃走を繰り返しているのか。それは、もしかして自分たちが追いやられる元凶となった殺人にも、関係しているのではないか。そうなると、漠然とした不安では片付けられなくなってくる。奴を巡るごたごたで、遂にはこの場所まで奪われてしまっては堪らない。

そこで今、先に奴を抑えてしまおう、と捜しているのだ。

 確認したことに三人が頷くのを見ると、アラタは対比するように反対側に今度は今回マキが調べたことを羅列し始めた。

「かたやこちらの〝ヒカル〟は〝天使〟と呼ばれ、崇められている。ただ、女に見境なく声をかけるところは同じ。違うのは、それが救いだ、と思われている点だ。皆はどう思う?」

「裏があるんじゃない?」

 すぐ反応したのは、マキだ。昨日自分が調べて得た情報なので、自分なりに考えていたのだろう。

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