Morning/3-2

「うーん、あのね。地元の小学校の頃から他の高校に行った人間を基に聞いてみたんだけど、意外とヒカルのこと、知ってる人多かったんだよね。実際、会ったこと無い人でも、『あ、知ってる! 〝天使〟さんでしょ?』とか言うんだ。それほどまでに広がってるなら、意外とスカウトの声が掛かってもおかしくないかもなー、って」

「はー、ヒカル、意外とここらでは有名人だったの? 信じらんない。あんなダメ男の、どこがいいんだか」

「なんか、今日は穏やかじゃないねえ。元気なのも、何かの八つ当たり? もしかして、女子生徒に聞いたのに、何か良くない情報でもあった?」

 優しくトオルが聞くので、アキは一瞬声を詰まらせ、恥ずかしげにしながらも、顔を背けて言った。

「べ、別にそんなことはないけど……」

「けど?」

「ちょっと、軽過ぎやしないかな、とは思ったわよ! ええ、そうよ。皆に話を聞いてもらったら、告白した女子が出てくる出てくる。それで、皆に皆、「ありがとう」って言って付き合うんですって! でも、結局あいつ超個人主義だから、彼氏彼女みたいになれず、自然に離れたり、女の子から別れよう、って言っていなくなるみたいだけどね」

「ああ、それは想像に難くない」

 シズカが意外にもくすくすと笑って、それに釣られるように三人も頬を緩めた。

「まあ、それは確かに」

「困ってる人見つけたら、他の事情ガン無視だもんね。そりゃ付き合えないよ」

「女子も、あんな奴のどこがいいのかねえ。……ってか、俺の情報使えただろ!? 何普通に流そうとしてんだよ!」

 ほのぼのとしかけていたヤスユキが、慌てて三人にアピールする。しかし、三人は素っ気無い。

「別に、トオルの情報があったらわかってたかもだしー」

「大体、ヒカルがそういうので消えると思う? あの人助け狂いが?」

「正直、ヤスの情報があったからといって、何が変わる、というわけでもないしな」

「おいおい、マジかよ……」

 天を見上げ、腕を広げる。そんなヤスユキを無視して、シズカか口を開いた。

「それで、僕が調べた情報だけど」

「うん、何かあった?」

 アキとトオルも、ヤスユキを無視してシズカに注目する。ヤスユキも、仕方なく唇を尖らせながら肩を落として視線を向けた。

「興味深いものがあった。〝ヒカル〟の情報を集めているサイトだ」

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