Night/2-2
シュウが首を傾げると、マキは画面を眺めながら呟いた。
「僕は、行かない」
「え? 何言ってるのさ! ゲーセン、って言ったの、マキじゃん!」
「僕は、ここに、人と交わらないで、ネットができてゲームができる環境を求めてきたんだ。それに、一定の距離を保って関わってるうちはいいけど、干渉して一緒に、っていうのは求めてない」
「でもっ……」
「オーケーだ」
何かを言いかけるシュウの言葉を、アラタが遮って手を広げた。
「ただ、俺たちも流れに流れてここに来た身だ。ここ以外、居場所がないのも、事実だろう」
マキは、こくりと頷く。
「だから、少しでも、手伝ってくれないか? 外には出なくていい」
「……どうすればいい?」
「ネットで、〝クスリ〟が欲しいフリとか、それらを求めるアングラサイトの情報とか、集めてくれないか?」
「……それくらいなら」
結局目を合わせないまま頷いたマキに、アラタは優しく微笑むと、ふたりに向き直って言った。
「じゃあ、作戦変更で、三人で動こう。まずはクラブからだ」
ふたりが頷き、壊れたコンクリートから腰を上げると、アラタを先頭に廃墟を出て行った。
肉付きの良い月が、ぼんやりと廃墟の空間を照らす。ひとり残されたマキが、静かにその指を動かす音を、響かせていた。
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