第23話 監視カメラの映像/イーグルスホテル

廊下の映像


 キャロライン・ルルイエが一人で歩いている。

 周囲にほかの人間の姿はナシ。


 キャロライン・ルルイエの唇の動き。

「ルイーザぁ? どこに居るのー?」


 廊下を塞ぐように『従業員以外立ち入り禁止』の看板。

 キャロライン・ルルイエ、立ち止まってしばし考える様子。

 看板の先を覗き込む。

 意を決したように看板の向こうへ進む。




厨房の映像


 キャロライン・ルルイエ、忍び足で入ってくる。

 壁の時計を見上げて首をひねる。

(昼食時が近いのに厨房に誰も居らず何の支度もなされていないことに疑問を持ったものと思われる)


 急に戸口のほうを振り向く。

 後ずさりして壁にぶつかる。

 壁の時計が落ちてくる。

 時計を受け止める。

 悲鳴を上げて時計を投げ捨てる。


 時計は文字盤を上にして床に落ちる。

 時針、分針、秒針がそれぞれバラバラに回転と逆回転をくり返す。

 キャロライン・ルルイエ、背中を壁に貼りつけて時計から最大限に距離を取りつつも視線は時計から離さず。


 時計の針が止まる。

 十二時を指している。


 画像のブレが二秒ほど続く。

 ブレが収まる。

 カートの上にサンドイッチやベイクドビーンズなどの料理がセットされている。

 コーンチャウダーの上に湯気らしきものが映っている。


※資料添付

 一九三〇年にカリフォルニア州のホテル・イーグルスで供されたメニューと一致。



 キャロライン・ルルイエ、視線を上げる。

 戸口に向かって悲鳴。

 戸口は画面から見切れており、そこに立つ円錐形の影だけが床に映っている。

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