第3話 魔術書(上巻)の記述

 ウィルフレッド・ウィルソン氏の書斎に上巻のみが保管されていた。


 赤黒いシミのついたページの間に、ロンドン市内の古書店の領収書がはさまっていた。


 領収書の裏にはウィルソン氏の筆跡で

『ページに付着した絵の具のシミが、シャーマーメイズが使用していた絵の具の色に酷似』

とメモされている。

※美術集団シャーマーメイズについては後述する。


 この書物はもともとシャーマーメイズが所有していた可能性が高い。

 当該の古書店はすでに存在せず、この本が店に流れた経緯は不明。


 内容は極めて難解。

 重要と思われる部分のみを書き写す。



・偉大なる(判読不能。クルルフ? クルーフ?)の皮をなめしてキャンバスにせよ。


・キャンバスは十二枚、用意せよ。


・十二人の巫女で輪を作れ。


・輪の中央に立つ、十三番目の巫女を生け贄にせよ。


・生け贄の血で絵の具を作れ。


・輪になった巫女は、各々おのおのの左隣の巫女の肖像画を描け。

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