近未来に起こりそうなことと百合

*ネタバレありです。

VRが実際に登場して、現実がどんどん創作に近づいている気がしている。

VRがどんどん進化して、アバターに感覚がやどり、現実世界と変わらない生活を送れるようになったら……それは、もう現実で良いんじゃないだろうか。
この小説では、死んだ恋人を仮想世界の中で蘇らせる。
好きな人に、恋した人に会いたいと思う気持ちは、すごく百合を感じさせてニヤニヤできること間違いなしだ。

その一方で、すべては仮想世界で行われていることになる。
現実じゃない。仮想だ。
それでも、主人公は幸せそうだし、恋人も幸せそうに過ごしている。

一昔前のお話だったら、仮想は仮想として終わったのだろう。
仮想は壊れるからこそ、仮想なのだ。
しかし、ここでは違う。
壊れない仮想世界、現実から完全に独立した仮想世界で人は生きていくことになる。
ここに、すごく新しさを感じた。
好きな人と永遠に変わらず一緒にいられる世界。その世界で、これから何が起こるのか。
この先を想像することが楽しくなる。そういう作品になっている。
こういう未来が来るのかもしれない……そう思えるのが良作の証ではないだろうか。