「駐車場での押し問答」

「…ああっもう。全然これ以上の情報が出ないじゃない。

 菓子屋のおっさん、嘘の情報でも寄越してきたの?」


ユウリは苛立たしげにスマホの画面を叩き、

着ぐるみウサギについて何か弱点はないかと探っている。


ショッピングモールの三階。


車一台停まっていない、

閑散とした駐車場。


そこで僕らは作戦会議と

称して上の階に避難していた。


柱に背を預けながら、

必死に画面を叩くユウリ。


「…あんな怪物だったなんて、

 ミカはあんな化け物の相手をしていたなんて…。」


その足は震えていて、

僕は思わず「怖いなら帰ろうか?」と声を掛ける。


すると、ユウリはキッとした顔でこちらを向いた。


「帰れるわけないじゃん、

 私たちがここに来た時のことを思い出して!」


その言葉に僕もやっちんも顔を見合わせ、

自分たちのスマホとキューブを見つめた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る