「参加者設定」

…そう、あの駄菓子屋で

キューブをもらった時のこと。


ユウリは率先してキューブの端末を引き抜くも、

同じように端末を差し込もうとする僕らをすぐに止めた。


「ダメ、私あなたたちを誘いはしたけど、

 このラリーに参加するのは私だけにしたいの。」


それに僕らはブーブー文句を言う。


だって彼女はイベント参加ができるから

駄菓子屋に連れてけと言ったのだ。


せっかくの参加資格を手に入れたんだから、

やめろと言われる筋合いはない。


「でも、これは危ないものだって聞いてたし、

 私はあの子がどこに行ったか知りたいから。

 それに、あなたたちまで巻き込むのは…」


だが、こういう時に人の話を

聞かないのが我らがやっちんである。


「うりゃ」


ここぞとばかりに

自分の端末をスマホに差し込む男、やっちん。


すると、なめらかな女性の声が

スマホから流れてくる。


『ウェルカムトゥ、ナンバーズ・スタンプラリー。

 お一人の参加ですか?複数での参加ですか?

 また、この設定は一度行うと解除できません。』


「あ、三名です。」


慣れた感じでスマホに話す男、やっちん。


その様子に僕もさっさと自分のスマホに

端末を差し込みユウリが「あっ」と叫ぶ。


すると、スマホの女性が続けて言った。


『あと、一名の方が接続されていません。

 今すぐ端末をセットしてください。』


「だから、ダメだって…!」


なおも抵抗するユウリに対し、

やっちんは彼女の両手を取ると、

さっさと残った端末を押し込んでしまう。


「…さ、これでいいんだろ、

 あとは名前の入力とか?」


スマホの女性は何も言わない。


しかし、次の瞬間。


「あ!」「え?」「うお!」


突如、スマホが光ったと思うと

一瞬の浮遊感に襲われる。


そして、気がつけば、僕らは人気のない

ショッピングモールへと移動していた…

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