企画や役に立ちそうなお話


 カエルムはテハイザの書状を確認すると、後に返信を書かねばと机の隅に置いた。その上に乗せた文鎮はシレアの伝統工芸の一つである木細工で、色の違う木片が幾何学的に組み合わされ美しい模様を見せる。

「それから……」

 そうしている間に、姫は続けて二枚の紙を、下手に折り目がつかないようそっと取り出した。

「先ほど教育省の前を通ったら、これも伝達しなければって」

 手渡された一枚目は、何かしらの統計とその説明らしき文章と見える。

「文章教育と文芸普及政策関連か? 先日から盛んに実践や勉強会などが行われていた……」

「ええ。文章を読むのは教育にも啓蒙にも良策だけれど、何を読むにしろ、一度にたくさん読むのは大変でしょう。読める量としてどのくらいが適切か、とか、ここのところで行われていたことを詳しく分析したものだから、すごく説得力があるし興味深いわ」

 さっと見てカエルムも頷く。

「後でもう一度見ておく。周知しておくといいかもしれない」

「後もうひとつね、祭事担当官の方から……」

「姫様、雑用とか下男のあいつどっかの誰かに任せていいですよ。貴女もお仕事やお勉強やたくさんあるでしょうに……」

 続けようとする姫にロスが呆れた声を出した。それを聞いて姫は顔をしかめる。

「いいの、私は今日の大方の仕事は終わったし、下男のあいつどっかの誰かも意気消沈の中頑張ってるんだから。これも勉強よ」


 二人の言い合いに微笑みながら、カエルムはもう一枚の書類を見聞した。年が明けてもしばらく続く、長い祭りに出品するものたちによる自主的な催しについての報せだ。

「なるほど、祭りの時の自らの一級品について、民衆にも具体的なところを周知したいと。これは、面白そうだな」

 祭りは年明け後、月の満ち欠けにしてひとまわりほどの間は続く。シレアを含め、国内外が皆で数々の良品を出し合い、その多さに目移りするほどだ。見てみたいと思うものの指針があれば、ありがたいに違いない。


 ***

 本編の方はこれよりも、(多分)かなりシリアスで地の文もここで書いているより多めですが、こちらでは会話が主になっているシレア国の一時です。


 自主企画関連で興味深いものがあったので、ご紹介です。

 ひとつめはゆあん様。『筆致は物語を超えるか』の企画主催者の方で、参加作品の字数、和数などの詳細な統計を出されています。一話に良い文字の量など、役に立ちそうなデータ、考察があります。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054891740375/episodes/1177354054892645335


 もう一つは湊波様の自主企画。

「【自作品アピール企画】カクヨム、冬の3本勝負!!」

 https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054892623247

 自作品の魅力を3点に絞ってアピールするとの企画です。


 コンテスト参加者の方は、アピールに最適な企画なのでは。(私は参加できるか未定ですが……)


 今回は公開前に、お二人に今回の下書きを見ていただいて許可を取りました。勝手に設定に組み込みましたので。お許しありがとうございます。

 下書きの共有は、「ツール」タブの下でURLを取得すればできます。便利ですね。


 ところで、上の設定は本編には全くありませんので、あしからず(笑)。シレアの年末年始の祭りはどうでしょう……。




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