家族の背中
初代『緑』の
その窮地に駆け付けたのは夫である
しかもケイルは
それが
『茶』のナニガシによって高められた
二つの
すると弦を引き右手で引く
「――……いくぞ、若いのっ!!」
「!」
そう言い放った瞬間、幅一メートル程まで
更に『生命の風』を纏わせている矢は
すると瞬時に『無我の境地』へ入り無意識になったケイルは、両手に持つ刀を逆手に持つ。
それと同時に向かって来る矢に自ら走り、『生命の火』となった
『
しかし次の瞬間、矢は分裂しながら幾百本になりながら
「また……!!」
別の
しかし無意識のままのケイルはその状況に動揺する様子も見せず、自身が飛ばした二つの
するとケイルが飛ばした斬撃に、大きな変化が起きる。
それは先に放たれた長刀の
「!」
「ほっほぉ、俺の『風』を取り込んだか」
衝突した
逆に
覚醒させて間も無い『
それに対して
「
「……!」
そうした声を見せていた時、
するとそこには暗雲が生み出されており、そこから雨が降り注ぎ始めていた。
それは遥か
しかしその
それを見ていた
「ケイルの炎が……」
「……
するとケイルや
それから一秒にも満たない時間で、雨が本格的に
するとガリウスの視線にある光景が浮かび上がり、そこには妖狐族クビアと連れ沿うリエスティアとシエスティナの母子が見え、彼女達の周囲に大きく張った透明化の結界が崩れ剥がれる光景が見えた。
これを見てケイルが無意識から意識を戻し、姿が見える
「――……お、おい! 見えちまってるぞっ!?」
「え……えぇっ!? もしかしてぇ、結界……解けちゃったぁ?」
「……この雨のせいです」
「!」
「この雨が、貴方達の
自身の発生させた透明化の結界が解けた
それを聞いたクビアは、ケイルの方へ顔を向けながら状況を伝える。
「この雨は
「マジかよ……。……クソ、
クビアの声で状況を理解したケイルは、改めて自身の
しかし雨が
そうして動揺する一同を見ながら、ガリウスは落ち着いた面持ちで声を向ける。
「無駄だ。この雨の中では、お前さん達の
「!?」
「だが、俺達は違う。……この通り。弓と矢も、『
「……クソッ」
雨に降られながらも自身の
するとガリウスは笑みを失くした表情を向けながら弓を構え、
「……っ」
「もっと楽しみたい
「ケイルッ!!」
ガリウスは躊躇せず矢を放ち、
それに対してガリウスの矢は再び幾百にも分裂し、ケイルの逃げ場を完全に失わせる。
避ける事を諦め可能な限り纏える
すると次の瞬間、ケイルの目の前を覆うように影が出現する。
その影が揺れ動きながら襲い来る矢を防ぎ、自分の身を守ったケイルを庇った。
更に金属が折れ砕けながら地面へ落ちる音が、その場に響く。
それに気付いたケイルは、自分を守り影を覆わせている人物に声を向ける。
「……し、師匠っ!?」
「――……ぐ……っ」
ケイルが見たのは、自分の剣を教えた師である
彼はこの状況において瞬時にケイルの危機を悟り、自らの身体を
しかしその
それでも両手に握る刀は
それでも踏み止まる
ケイルはそれを見ながら驚愕し、
「師匠、なんでっ!?」
「……
「!!」
「そうじゃろ、
「――……そうですね」
「!」
そうした言葉を見せる
すると血を流しボロボロの姿を見せる二人は、衰えぬ戦意を眼光に乗せながらガリウスを見ながらケイルに呼び掛けた。
「奴の相手は私達に任せて、貴方達は行きなさい」
「でも……!」
「奴の相手など、儂等だけで十分だ」
「む、無茶だ……。今は
「その程度の
「!?」
「自分がやるべきだと思った事を果たして来い。――……お前は、儂等の
「……!!」
それを聞いたケイルは二人の背中を見ると、
そして二人の背中を見ながら、この言葉を伝える。
「……絶対に、死なないでください。……もう、家族を失うのは嫌だから……っ」
「当たり前だ」
「当たり前です」
「……この場は、御願いしますっ!!」
ケイルは二人の背中に礼を向け、その場から離れクビア達がいる方向へ走り出す。
その背中を守るように立つ
それに対してガリウスは矢を射る構えを見せず、二人の姿を見ながら口元を微笑ませて感想を零す。
「やはり、アイツ等の子供だな。……失格と言ったのは訂正しよう。――……だから、容赦はしてやらんぞ」
「やれるな、
「はい、
そして
それを迎え撃つように弓を構えたガリウスは、『生命の風』を纏わせた矢を放つ。
豪雨すら歪める矢に向かう二人は、決死の表情を見せながら対峙した。
こうしてケイルは師匠であり家族でもある二人の背中に守られ、ガリウスとの対峙を任せる。
それは家族を全て失ったことがあるケイルに歯を食い縛らせ、その場に残りたいという衝動に抗わせながら薄らと涙を浮かべさせていた。
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