二重の極意
『生命の風』と併用し圧倒的な格闘技術を誇るバリスは、参戦した
しかしその場に赴いていた干支衆の『牛』バズディールと『戌』タマモは、バリスに対する切り札として狼獣族エアハルトを連れて来た。
三大魔獣の一種と呼ばれる
そうした一方の戦闘が見える中、初代『緑』であるガリウスと対峙していた
「――……影分身の術っ!!」
両手で印を結び自身の
しかし同じ
その矢の速さと発射動作は
しかし
「ッ!!」
「
そして一早く反応し避けた
しかし
「それも同じだな」
「ッ!?」
影分身での防御術を知るガリウスは、命中寸前の矢を更に分裂させる。
一本の太い矢が数十本近い細い矢に分裂すると、瞬く間に身代わりにした影分身を貫通し、
襲い来る矢を完全に避けるのが不可能だと判断した
そして襲い来る夥しい数の矢を払う為に小太刀で迎撃しながらも、凄まじい速さで迫る矢は
「クッ!!」
最低限、頭部と急所を守る
しかし先程の矢とは効力が異なるのか、先程のような爆発は起こさずただ影分身と
そして一発の矢が顔の位置を掠め、
すると整いながらも痛みで表情を歪める
「若い頃の千代嬢に似ている。親子だな」
「……ッ」
「
「!」
「お嬢ちゃんでは、この距離を縮めることすら不可能だ。大人しく治癒に専念しろ」
「……やってみなければっ!!」
再び
しかしそれに逆らうように印を結んだ
それと同時に、
すると
「『
右手のみで
それと同時に紙札が爆発を起こすと、黒紛に引火するように膨張した爆発が発生した。
「……!?」
拡大する爆発によってガリウスが炙られる事を狙った
起きる爆発が拡大を防がれ、爆発の音すら漏らさずに巻き起こる風が吸い込み始めた。
そして黒紛諸共に爆発を吸引しているのが、ガリウスと構え向ける弓の矢だと
するとガリウスは爆発を吸引した矢の照準を
「返そう」
「ッ!!」
静かにそう言い放ったガリウスは、爆発を吸い込んだ矢を
その速度は変わらず素早いながらも、先程よりも距離を取れていた
しかしその
「判断力は、
「……!?」
ガリウスはそう呟き、
すると
爆発規模は散布した黒紛以上の範囲を誇り、かなり離れていた
爆発そのものを吸収させた『生命の風』が矢に蓄積させた爆炎を高め、それが
そして大気を揺らす程の振動と爆音が起こると、エアハルトとバリスの戦闘を見ていた
「
「――……ぐぁ……っ!!」
叫ぶ
しかし全身は爆発によって炙られ、所々に火傷を負った様子を見せながら地に伏す姿勢となった。
全身から血を流し焼け焦げた身体になりがらも、
しかしそんな
「残念ながら、お嬢ちゃんは失格だ」
「……っ!!」
そう告げるガリウスは、トドメとなる
避けられる態勢ではない
それを見て向かい始めた
こうして二人が対処に遅れる中、ガリウスの無慈悲な矢は
「――……ッ!!」
「むっ」
しかし次の瞬間、その場に赤い
それと同時にガリウスの放った矢が一つの鍔鳴りと同時に斬り落とされ、白い
それを見たガリウスは、自分の矢を撃ち落とした相手を見ながら微笑みを浮かべる。
「ほっほぉ。向こうに居たルクソードの子孫か」
「……
「――……テメェ……よくも
その
それに驚く
「『火』の一族が覚醒するのは
「
ケイルは
それと同時に瞬時に『無我の境地』へ至りながら右手で握る刀を鞘に納め直し、
その移動速度は
しかしガリウスはその速度にも対応するように弓と構え、『生命の風』を纏わせた矢を幾百本も同時に放った。
そして襲い来る矢に対して、ケイルは迎撃する様子すら見えずに突っ込む。
すると『無我の境地』で行う無意識の動作だけで矢を僅かな隙間を掻い潜り、瞬く間にガリウスとの
「!」
常人であれば不可能な回避を見せたケイルは、そのまま第二射をさせずに左腰に下げた長刀を右手で引き抜き振り下ろす。
それに対して
「これはナニガシの刀……それに
「!」
ケイルの無駄が全く無い動作が、『茶』の
それに喜々とした表情を浮かべるガリウスに対して、『無我の境地』へ至るケイルは左手を動かして左腰に携える小太刀を逆手で引き抜き、ガリウスの喉を切り裂こうとした。
しかしガリウスは全身から『生命の風』を放ち、鍔競り合うケイルをその場から吹き飛ばす。
更に纏わせていた『生命の火』を四散させ、再び距離を置きながら弓を構えながら言い放った。
「『生命の火』とナニガシの
「……そのニヤけた
対象的な表情を向ける二人は、互いに持つ武器を構えながら再び向き合う。
そして磨き上げた
しかしそうした傍らで、二人が戦う場所から大回りをしながら神殿へ向かおうとする者達がいる。
それはリエスティアとシエスティナの母子を連れて動く、妖狐族クビアだった。
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