真竜の厄災
しかし自身の師匠である老騎士ログウェルと対峙したユグナリスは、自身の
それでも
すると膨大な
「――……ログウェル……!! どうして、そんな姿に……。……何かの魔法なのかっ!?」
『魔法……そうじゃな。お主や今までの儂が人間の姿をしておったのも、魔法だったと言ってもいい』
「え……っ!?」
『
「……じゃあ、さっきのを食べて……真の姿になったってのは……」
『これが、風の一族が持つ真の姿。――……
「真竜……!?」
竜の姿となったログウェルは、それが『風』の一族が持つ本当の姿だと明かす。
その話に驚愕を浮かべる中で、ユグナリスの後方から二人の声が響いた。
「――……うわっ、なにあの蛇っぽいのっ!?」
「やはり、
「二人とも……!?」
その場に駆け現れたのは、マギルスと『青』。
そして互いに暴風の中に見える
しかしそれと同時に、
するとそこには、『緑』の
それに気付いた三人は、それぞれに向かい合いながら『緑』達の言葉を聞く。
『では御二人とも、彼等を頼めるかね?』
「任せよ。存分にやれ」
「御武運を、ログウェル殿」
「……なっ、待て――……ッ!?」
それを追おうと『生命の火』で肉体を上昇させようとするユグナリスだったが、それを防ぐように
三人はそれぞれに浴びせられる矢を武器や魔法で迎撃し、全て撃ち落とす。
しかし
すると『青』は厳しい表情を浮かべ、『緑』である
「お前達、何をするつもりなのだ? 『風』の
「『風』の
「
「真竜を引くって……じゃあ、ログウェルも魔人だったんですかっ!?」
「いや、『緑』の
『青』は真竜と『緑』の
するとこうした事態になった事を、改めて
しかし相対するバリスとガリウスは、互いに落ち着いた面持ちで声を向ける。
「試練だ」
「!」
「彼こそが、
「……ログウェルが、試練になるって……さっきから、アンタ達は何を言ってるんだ……!?」
バリスとガリウスが短く告げる言葉に、改めてユグナリスは動揺した面持ちを浮かべる。
しかしその言葉を聞いた『青』だけは、その先に起こるであろう事を察した。
「……真竜が仕えた『風』の
「!?」
「当時、健在だった『火』の
「再現って……それが試練っ!?」
再び『青』の予測を聞いたユグナリスは、『緑』達が真竜王と呼ばれる存在が起こした試練を再現しようとしている事を察する。
それに対して言葉での返答を見せない二人だったが、その態度によって答えを返した。
「……さぁ。我々を倒し、再び試練を越えてみなさい」
「そして、俺達に見せてくれ。――……
「来るぞっ!!」
「ッ!!」
バリスとガリウスは互いに声を向けた後、笑みを失くしながら鋭い眼光を三人に向ける。
それと同時に二人の変化に気付いた『青』が隣に立つ二人に呼び掛けると、バリスが凄まじい速さで出て来た。
更にそれを援護するように、ガリウスが
しかし『青』はそんな二人の前に自ら出ると錫杖を振り、矢を迎撃する水球を放ちながらバリスの拳を杖の柄で受け止めた。
「グッ!!」
「『青』のおじさんっ!?」
「……お前達は、奴を止めに行けっ!!」
「『青』殿っ!?」
「この二人は、儂が相手をする! ――……行けっ!!」
『青』はマギルスとユグナリスにそう言い放ち、バリスの格闘を棒術で捌きながら逆に大きく前へ歩み出る。
更にガリウスが放つ矢を全て水球で迎撃し、たった一人で『緑』の二人を相手にする様子を見せた。
その提案は、ここに来る当初から『青』が告げていた
だからこそ、それを聞いたユグナリスは強張った表情を引き締めながらマギルスに顔を向けた。
「……マギルス殿! 俺を、ログウェルが居る
「いいの?」
「ここは、『青』殿に任せます!」
「んー、分かった!」
『青』が戦う背中を見ながら、ユグナリスは頼みを向ける。
それに応じたマギルスは笑顔を向け、自身の足に
そしてマギルスがユグナリスの右腕を握り、それと同時に足に溜めた魔力を解き放つ。
「行くよっ!!」
「――……っ!!」
凄まじい脚力と魔力の噴射でその場から跳び上がったマギルスは、ユグナリスと共に遥か上空へ向かい始める。
それを妨害しようとガリウスは数多の矢を放つが、『青』の放った水球がそれ等を全て吸収して止めた。
すると改めて『緑』の二人と『青』が対峙し、言葉を向け合う。
「流石ですな、『青』の
「チッ、止められなかったか」
「……お前達の相手は、儂だけで十分だ」
それと対峙するバリスとガリウスは、再び激戦を交え始めた。
しかしそうした間に、上空に昇った
そして自身の巨大な肉体を纏う暴風を、まるで拡散させるように人間大陸の全土に広めた。
すると次の瞬間、人間大陸の各地にて暗雲が立ち込める。
更に暴風が吹き荒れながら鋭く重い雨が降り始めて、瞬く間に雷鳴が轟き始めた。
それが人間大陸に広がる海にも影響を及ぼし、海の増大と津波を発生させていく。
『……さぁ、人間よ。儂の試練を乗り越えて見せろよ』
上空から見下ろしながらそう呟く
それに晒される地上の人間達は、突如として起きる暴風と落雷に驚愕を浮かべるしかない。
更に大量の
そしてそうした状況になった時、『聖域』にて
「――……ログウェルも始めたかな。だったら、私も始めようか」
「――……ッ」
森林を削り吹き飛ばしていたアルトリアを横目に、メディアは自身の
そして何かを操作した後、再びアルトリアに微笑みと視線を向けた。
「ほらほら、どうしたの。元気がなくなってきたね?」
「……ハァ……。……ハァ……ッ!!」
そうして呼び掛けたメディアの言葉に、反発するようにアルトリアは起き上がる。
しかしその光景は、人間大陸の居る人々に映像として映し出されていた。
こうして『緑』の
それを察知し新たな到達者の誕生を危惧した
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