過去の遺物
フォウル国の里に鎮座する鬼の巫女姫レイと面会したエリクとマギルスは、そこでメディアの正体を聞く。
それはエリク達の出会った『白』と同じように、マナの
それだけに留まらず、
エリク達は『白』の存在を知るが故に、その話が事実であることを理解する。
しかし腑に落ちぬ部分もあり、最初にその疑問をマギルスが口にした。
「――……でも、その話っておかしくない? 確か
「はい、そうですね」
「でもメディアって人は、おじさんの話だと三十年とか四十年前とかに現れたんだよね? だったら、
「いいえ、
「……まさか、
「それしか考えられません。
「!!」
マギルスの疑問について自身の推察を伝えた
しかしその推察は、同時に新たな疑問をエリクに吐き出させた。
「……だが、もしそれが本当なら。メディアは
「数十年前に、同じ事象が起きたとは確認できていません」
「なら……」
「ただ本来、
「なに?」
「前回と今回の
「……メディアは、その別の手段で
「
「!!」
更に続く
そしてクラウスから聞いていた話から、メディアを拾い
「……ログウェル。あの
「
「……そっか。そういえば
それに納得を浮かべるマギルスだったが、逆にエリクは更に不可解さを深めて疑問を呟いた。
「だが、何故だ? どうしてあの
「それは私にも分かりません。けれどもし、そこに『
「!!」
「今回の事態において、『黒』は根深く事態の推移を予知していました。そしてあらゆる者達の行動を
「『
「どのような意図で
「?」
「貴方達は、七つに分けられた
「……いや」
「それは、
「!」
「
「!?」
「そして誕生したのが、『マナの実』を種として
「……知っていたのか? フォウルも同じ存在だと」
「はい。そこに居るバルディオスの祖先は、
「!」
「人間である貴方が
「……」
祖父であるフォウルもマナの実から生まれた生命である事を知っていた
するとエリクは、別未来で一度だけ死んだ際にフォウルが自分を拾い育てた
だからこそ
すると
「五百年前、そうした
「……俺達が、同じ事をして世界を滅ぼすと思っているのか?」
「いいえ。けれど貴方達が意図しない形で、そうなってしまう可能性を捨てきれません」
「だがアリアは
「……」
「俺とアリア、そしてケイル。既に
「だから危険なのです」
「!」
「『マナの実』から人の姿となったメディア。そしてその者から生まれたアルトリアなる少女。そんな彼女達が
「……だが、アリアはそれを制御できている。それにもう、
「そういう話ではないのです。……私が恐れているのは、メディアの目的です」
「え?」
「私達は昔、『黒』から
「……まさか……」
「恐らく
「!!」
「私は
「……っ!!」
「そして百年以上前、『黒』は私にこう伝えた。『五百年前に死んだ
「……【
「
「!?」
「もしそうした事態になった時、今の貴方達では
「……!!」
それは実際に向き合った【
そうした巫女姫の様子と言葉を見ていたエリクは、落ち着きを戻しながら冷静な表情と言葉を向ける。
「……お前の言いたいことは分かった。それでも俺は、欠片を持つ者を集めるべきだと思う」
「!」
「どちらにしても、このままでは世界を破壊されてしまう。だったら、やるしかない」
「本気、なのですね」
「……この世界には、苦しくとも生きようとする者達もいる。俺自身もそうだ。だから俺は、俺の為に世界を生かす。……その為なら、俺はもっと強くなる。そして必要なら、俺がメディアを倒す」
生き残る為に戦う覚悟を見せるエリクは、その脳裏に今まで出会った者達の姿を思い浮かべる。
彼等はこの世界で生きる為に、自分がやれる事を精一杯にやり続けていた。
そんな彼等の生き方こそが、自分が望む姿なのだとエリクは考え至る。
するとその覚悟を聞いた
「……貴方の覚悟は、良く分かりました。……貴方達の目的。
「!」
「えっ、そんな方法あるの?」
「はい。しかしそれは危険でもある為、この
「危険?」
「それは
「五百年前から、封印している?」
「
巫女姫の話を聞いていたエリクとマギルスは、封印されているという
そんな彼等に対して、率直な答えを巫女姫は伝えた。
「封印されているのは、一本の剣です」
「剣?」
「【鬼神】を育てた名匠バファルガスによって作り上げた剣。しかもその素材は、『マナの樹』を使用しています」
「マナの樹で作られた剣……!?」
「その剣で斬られた者は、例え
「別の名?」
「過去の人間達は、アレをこう呼んでいました。『
「!?」
「第一次人魔大戦の時代に【大帝】が奪い、【勇者】に持たせた『聖剣』。あの剣を扱えるのは、素材となったマナの
「……!!」
しかしエリクは、別未来で精神内に居たアリアの
こうして
それは過去の遺物とも言うべき、伝説上で語られる【勇者】の『
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