撒かれた種
そして二十年前にメディアに面会された巫女姫レイを訪ねると、その行方こそ不明ながらも魔大陸へ向かった理由が明かされた。
一つ目は『
それは『白』が語っていた『世界から存在を忘却した
エリクはその話を聞き、改めて
「――……メディアは本当に、それを探していると言ったのか?」
「はい」
「だが、どうして……。……もしかしてお前は、その探している
「……いいえ」
しかしそれに加えた言葉を、瞼を閉じたままの
「私もまた、その
「!」
「けれど
「……そうなのか」
「だから彼女について、私や他の者達は何も思い出せないのです。そして彼女と深く関わった者達ほど、
「!」
「そして彼女の所在について聞く為に、メディア殿が
「……そうなのか」
すると記憶に残る『白』の話を思い出し、エリクはある場所について
「一つ、聞きたい事がある。ヴェルズ村という場所を知っているか?」
「ヴェルズ村……。どうして貴方が、その村の名を?」
「知っているのか。魔大陸にあると聞いたが、何処にある?」
「……ヴェルズ村は、魔大陸の極東部に位置する場所にあると聞きます。実際に私は行ったことはありませんが」
「そうなのか。……ならメディアが向かう場所も、
「どういう事でしょう?」
「お前達が忘れたという
「……まさか貴方達も、ヴェルズ村へ行く気なのですか?」
「ああ。俺やアリア達も、その
「そう、ですか。……御爺様は……貴方の
「……そういえば、
「やはり、そうですか」
「……ヴェルズ村という場所と
今まで疑問に感じていた
すると
「……
「最後……?」
「五百年前の天変地異が起こる数十年前。御爺様はその村を最後に訪れ、
「!?」
「!!」
「なのでその村は、
「……フォウル、お前が死んだ場所だった……」
『――……』
自分の精神に留まる
その事実は巫女姫だけにしか知らされていなかった様子が見えると、エリクは改めてヴェルズ村についての情報を聞いた。
「ヴェルズ村は、そんなに危険な場所なのか?」
「……天変地異が起こる前は、危険と呼ぶべき場所でしたね」
「どういうことだ?」
「
「
「一人目は『魔大陸を統べる女王』と呼ばれた、ハイエルフ族の女王ヴェルズェリア。二人目は、『最強の戦士』と呼ばれたハイオーク族のドワルゴン。三人目は、『俊足姫』ミコラーシュ。この三人が共同で村を統治し、守護していたと聞きます」
「……そいつ等が、フォウルを殺した?」
「その中の一人と戦い、
「……」
「しかし現在、
「別の
「数多の悪魔達を統べる『魔神王』ジャッカス殿。彼が今は、その村で長をしていると聞きます。彼は元々、『
「……悪魔を統べる、
「ただ『
「そうか……」
エリクはその話を聞き、自分達が向かうべき『ヴェルズ村』に『魔神王』とそれに従う悪魔達がいる事を知る。
そして悪魔という言葉から連想される概要は、別未来のアリアや騎士ザルツヘルムが見せた異形と
そうして懸念すべき事を考え増やしたエリクが口を閉じると、隣に座るマギルスが代わるように問い掛ける。
「ねぇねぇ。今の僕達でも魔大陸って行ける?」
「行くこと自体は難しくはありません。ただ
「そっか。今のおじさんや僕でもそう言われちゃうなら、もしかしたらメディアって人も死んでたりしない?」
「それはあり得ません」
「!」
メディアが死亡している可能性を即答で否定した
そしてその理由を聞く為に、改めてエリクが問い掛けた。
「どうして、そう言い切れる?」
「
「なに?」
「彼女と同じ存在を、私は実際に目にしています。……【始祖の魔王】ジュリア。そして【勇者】。あの二人とメディアが同一の存在である事は、間違いありません」
「!!」
「そして第一次人魔大戦を引き起こした【大帝】の目的こそが、彼等の発生を防ぐことでもありましたから」
「え?」
「……どういうことだ?」
巫女姫の口から突如として【大帝】の話が出された事に、エリクとマギルスは首を傾げる。
すると巫女姫は僅かに肩を落とし、改めて第一次人魔大戦を引き起こした【大帝】の目的を伝えた。
「【大帝】と呼ばれた彼の目的は、
「それが【始祖の魔王】と【勇者】か。だがどうして、マナの樹を消滅させる目的がその二人と繋がる?」
「……かつて現世に存在したマナの樹は、
「異常な現象?」
「生物は自分の死を悟ると、
「……!!」
「自分の死期を悟ったマナの
「……まさか、ならメディアも……!!」
「そうです。彼女もまた、マナの
「……!!」
エリクとマギルス、そして傍に控える干支衆達もその話を聞き、驚愕の色合いを深める。
それは数限りある者達しか知らない『マナの実』の性質であり、『白』や『
こうしてエリクは、
それはこの世界に満ちる謎の一つであり、直面している世界の滅びとは別の脅威が生み出されていた事を、エリクは初めて知らされた。
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