原点回帰
再び再会したアリアとケイルは、未来の戦いを経て感じ取っていた互いの遺恨を取り払う。
これで三人目となる
それこそが、『神兵』達を相手に孤軍奮闘する傭兵エリク。
しかしその瞳が向けているのはエリク本人ではなく、その魂の中に介在するもう一人の鬼神フォウルだった。
その切っ掛けとなる『黒』との話を思い出すアリアは、表情を渋らせる。
『――……三人目は、私を嫌ってるケイルってことね。それで、四人目は誰なの?』
『彼だよ』
『……これって……エリクじゃないっ!?』
深層意識にて投影されたエリクの姿を見て、流石のアリアも困惑を強める。
そして今度も、エリクが
『エリクが
『そう、彼は鬼神フォウルの
『な……!?』
『
『……でも、それが本当だとして。それじゃあ、エリクの魂も必要ってこと?』
『必要なのは、魂によって形成された
『……!!』
『エリクとフォウル。どちらの精神でも問題は無いと思いますが、この状況で主人格であるエリクの精神を肉体から抜き取ってしまうと、戦う事が出来なくなる可能性が高いと思います。なので、用いるとしたら――……』
『……フォウルの精神を、どうにかして
『そういうことですね。……現状では、この四人を
そして
その最後となる
「――……そもそも、エリクと
「え?」
「こっちの話よ。……ケイル、貴方はこの結界の中にいて。私は、エリクをこちらに呼び戻すから」
「あっ、おい!」
説明を大幅に省きながら
それを追おうと僅かに躊躇いを見せたケイルだったが、薄く張られた
するとエリクが放つ赤く強力な斬撃が、『神兵』達を上手く一掃する。
その合間を縫うように跳び現れたアリアが、張り上げた声でエリクに呼び掛けた。
「エリク!」
「――……アリアッ!?」
その時になって再び死体を使ってアリアが動き出していた事に気付いたエリクは、意識と首を振り向ける。
ウォーリスの制御によって『神兵』達の出現速度が遅れていた事もあり、瞬く間にエリクはアリアへと駆け寄った。
「どうしたんだ、
「違うわ。――……エリク、
「え? ああ、出来るが。それにこの会話は、
『――……あ?』
唐突に呼ばれるフォウルの名前に、エリクと
それを確認したアリアは、単刀直入にフォウルへ協力を打診した。
「フォウル、貴方の手を貸して。貴方の精神を、一時的に
『……何言ってんだ、この嬢ちゃん?』
「どういう事なんだ? アリア」
「
『……おい、エリク。その女に触れろ』
「あ、ああ」
求める役割を伝えたアリアに対して、フォウルはエリクに命じるように肉体同士を接触させる。
するとエリクが握った細腕を通して、フォウルは自身の
『……この俺に、
「ええ、そうよ」
『断ると言ったら?』
「世界が滅ぶ。それだけよ」
短くも明確に忌避する声色と言葉を浮かべたフォウルに、アリアは端的な回答を答える。
それを聞いたフォウルが沈黙を浮かべると、今度はエリクが何かを考えながら言葉を口にした。
「……ここは、俺がなんとかする。だからフォウル、お前はアリアを手伝ってくれ」
『あ? なんで俺が……』
「お前が助られるなら、助けた方が良い。……俺は、俺が出来るやり方で助けるだけだ」
『……チッ』
エリクはそう言いながらマナの
そしてエリクの言葉に淀みや迷いが無い事を理解できるフォウルは、短い舌打ちを鳴らした後にこう述べた。
『……おい、嬢ちゃん。繋ぎ直した俺との
「ええ」
『だったら、それを使って俺を
「分かったわ――……ッ!!」
「また来るッ!!」
フォウルの説得を完了させた後、再びマナの
それを飛び避けるアリアと立ち向かうエリクは、触れ合わせていた肉体を離れさせた。
『神兵』達に対応するエリクの背中を見ながら、アリアは再び
「『黒』! 聞こえてるなら、結界の中に入れてっ!!」
「!?」
アリアが突如として『黒』の名を呼びながらそう告げると、
そしてアリアが入れる程の隙間が生み出されると、そこに跳び込んだアリアは再びケイルと合流して見せた。
それに驚くケイルに対して、アリアは有無を言わさずに右腕を掴む。
「お前、さっき『黒』って――……!」
「その話は、
「お、おいっ!!」
「さぁ、三人分の魂を追加よ。――……行くわっ!!」
「ッ!!」
アリアは右手を
それが痛みとなってアリアとケイルの肉体を通過すると、二人の精神が
それを背中で見届けるエリクは、再び『神兵』達と対峙する。
こうして
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