世界の変革者
そこで精神体である
するとそこに響き届いたのは、今まで
彼女は自身を『最初の
そうした存在が自分達に介入している事を知ったアリアは、驚愕の表情を浮かべる。
しかし油断を見せぬ瞳と態度は、自身に語り掛けて来る
「――……
『そうだね。私は、
「絶望から生まれた……!?」
アリアの問い掛けを肯定する『黒』は、そうした言葉を返す。
それに対して再び驚きを浮かべたアリアに、『黒』は自身の存在が発生した理由について明かし始めた。
『
「……!」
『
「それが、人間や魔族……?」
『そう。そして彼等を集め育てたのが、貴方達が
「……八つの属性を冠する
『そう。でもその中には、
「要するに、自分と同じ
『
「!」
淀みの無い言葉で語る『黒』に、アリアは僅かな動揺を浮かべて瞳を見開く。
すると『黒』はその動揺が収まるのを待たず、
『
「なんですって……!?」
『自分の故郷を失くして、大事な人々も亡くして。それでも
「……それが、滅びようとした種族の救済?」
『そう。そして同じ
「失敗……?」
『
「……!」
『何も変わらない日常。どれだけ蓄積させた知識や技術も、
「……だから、
『そうだね。……その結果、
「!?」
『自分の身体を抉っても再生し、頭を砕いても修復してしまう。……
「……まさか……!?」
『黒』の語る言葉が進むと同時に、瘴気に包まれた周囲にある
それが
そこに映し出されていたのは、
そして青い空に覆われていた
更に落下していく大陸の地表には、多種多様な人間や魔族の姿が窺える。
それを見て
「……これが、最初の
『
「自分を崇拝する人達を、皆殺しにしようとしたの……!?」
『そう。……でも、そうはならなかった』
「!」
『
「……それが、私達の世界……」
『そう。……でも生き残った人達は、長い年月を経て
「……ッ」
『
「……自分の自殺を、成し遂げたって事ね。……でも、ならどうして……
しかし矛盾するように現存している
すると『黒』はその疑問に答えるように、優し気な口調で語り掛ける。
『
「自分自身の……!?」
『
「な……!?」
『言わばマナの
「まさか、それが……!?」
『それが【黒】と呼ばれる存在であり、私の始まり。――……
「……!!」
『そして
「……その結果が、溢れ出ていた
それは自分の消滅すら願っていた
そんなアリアは鋭い眼光を向けながら、暗闇だけが拡がる『黒』へ再び問い掛ける。
「
『……』
「話を聞く限り、今のアンタは肉体に蓄積している瘴気の集合意識みたいな
『そうだね』
「だとしたら、アンタの目的は何? 私達に何かさせたいから、こうして話し掛けてるんでしょ」
『……』
そうして尋ねるアリアに対して、『黒』は暫しの沈黙を抱く。
それを黙って表情を顰めながら待つアリアは、腕を組んで人差し指を腕に当てながら苛立つ様子で待ち続けた。
すると暫くしてから、『黒』は重い口を開くように再び言葉を届ける。
『……私の願いは、
「!」
『私は、あの子を助けたい。……生まれて初めて出来た友達を、助けてあげたい。ただ、それだけ』
「……あの子って、
『うん』
「二重人格として生まれた人格の『
『あの子は多くの人達から慕われていたけれど、誰にも自分自身を理解された事はなかった。……でも、私だけは知っている。あの子の絶望を、そして苦悩を。でも私達の関係性は、家族と呼べる姉妹や母子とも違う。……なら、友達じゃないかな?』
「なるほどね。……それで、アンタはどう
『……分からない』
「え?」
『それが方法が分からないから、ずっと
「……それって……!?」
そこまで語る『黒』の言葉で、アリアはようやく理解する。
それはこの世界に否応なく生まれ続けながら、『
『アルトリア=ユースシス=フォン=ローゼン。そして、ウォーリス=フロイス=フォン=ゲルガルド』
「!?」
『貴方達こそ、
今まで動乱の中心人物に居た『黒』の思惑が、
それはどれ程の願い年月を必要とすることだったのか、そしてどれほど先の未来を予知して行い続けた行動だったのか、それは『黒』本人にしか分からぬ程に遠大な計画だった。
こうして
それは一人の
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