黒の原点
互いに過去と未来において遺恨のある関係の為に、会話こそ交えなかった二人はそれぞれに自分が行える役目を果たそうとしていた。
未来のユグナリスは『生命の火』を用いて、
その間にアリアは自身が生み出す瘴気を纏い、精神世界の中心部から溢れ出ている
そうして再び一人になったアリアは、
しかし精神体ながらも悪魔の姿となって真下に向かい続けるアリアに、
「――……ッ!!」
アリアの
常人であれば発狂しそうな程の
同時にアリアがそうした干渉を受けながら
しかしそれは、
「……この記憶は、
顔を腕で覆うように防ぎながら潜るアリアは、瘴気の干渉によって見える記憶が『黒』の
それは幾何百万年という時間を積み重ねた『黒』の
ある
そこは豊かな者と貧しい者が存在する街並みの景色であり、『黒』は貧しい者の位置に立つ
そんな街に生まれ人々が暮らす生活を見る『黒』には、両親と呼べる存在はいない。
しかし幼く痩せ細った『黒』を掴みながら取り囲む者達を朧気に見上げ、その次に起きた記憶を視たアリアは表情を険しくさせながら吐き気を漏らした。
「う……ッ!! ――……また……!」
嫌悪感を強めながらも
そこには一般的に『幸福』と呼べるような記憶は存在せず、理不尽に苛まれ続ける『黒』の体験だけが強く干渉して来た。
流れ込んで来る『黒』の記憶の干渉を受けながらも、アリアは自身の口を手で覆いながら精神体にも関わらず押し寄せて来る吐き気を我慢して呟く。
「……これが、全部……『黒』の記憶……。……まるで、世界中の『負』そのものを詰め込んだような……。……こんな記憶を見せられ続けたら、誰だって……っ!!」
辛うじて自身の意識を保ち続けるアリアは、
それこそが転生し続ける『
だからこそ五百年前も現在も、復活した『
アリアはそれを理解し、淀みなく溢れ続ける
「……
そうして考え続けるアリアは、瘴気を止める為の方法が無い事を悟る。
死んでも転生する
そして
そうした結論を自身で導き出したアリアは、噴出していた
すると真っ暗な
「……いたっ!!」
全く視界の利かない
そして背中に生える四つの悪魔の翼を広げると、
そんなアリアの視界に映るのは、
アリアは悪魔の翼を羽ばたかせながらその光まで近付き、瘴気で覆う自身の両手を広げる。
そして光に触れないように注意深く確認し、その光の内部に横たわる人物の姿を目にした。
「はぁ……。……やっと居たわね。私」
深い溜息を吐き出しながら光の中を見るアリアは、そこで眠る
その光の中で安息を吐きながら瞼を閉じて息を整えている
「……
しかし次の瞬間、その疑問に答えるような不可解な声がアリアに響き聞こえた。
『――……おかえりなさい。アルトリア』
「……アンタは、私の身体に居た時にも聞こえた……」
『良かった、間に合って。……私も、その子の精神を守り切れるか分からなかったから』
しかし自分達以外の姿は見えず、それでもアリアはこの状況から声の主が誰であるかを推測するように尋ねた。
「アンタ、もしかして……
『……』
「この状況で私達に話し掛けられる奴なんて、私達の魂でこの肉体の持ち主……
『……少し、違うかな』
「え?」
『私は確かに、
「じゃあ、誰だって言うつもりよ」
『皆は私の事を、こう呼ぶよ。――……
「!」
『私は、
「なんですって……!?」
それは『黒』と呼ばれる存在にとっての原点であり、
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