総攻撃
『聖剣』ガラハットを構え飛翔するユグナリスは、『悪魔』に
聖痕の楔に因って弱体化した『悪魔』は残る左腕と左脚を死守しながら、『火』となったユグナリスに接戦を強いられていた。
そうして『悪魔』が動けない状況の中で、
それが一分以上も継続する中で、シルエスカが指揮する
「――……元帥!
「これ以上の照射を続ければ、
「障壁、船体強度を維持できません! このままでは、砲撃の衝撃で船体そのものが崩壊しますッ!!」
それぞれの
一分前には五割程まで残っていた
それを聞いたシルエスカは、苦々しい表情を浮かべながら一人の艦橋員に怒鳴り聞く。
「……
「まだですッ!!」
「残量、一割を切ります!」
「障壁、消失! ……船体に亀裂が発生! 元帥ッ!!」
「――……主砲、照射を停止ッ!!」
「照射、停止します!」
そして魔力残量を限界まで使い果たした
砲撃手はそれに応じて照射を停止させ、夜空を走る虹色の砲撃は鳴り止んだ。
そして限界まで照射し続けた主砲の先端は溶けるように爛れて、限界を迎えていた。
そうした
「
「すぐに確認します!」
「亀裂が生じた船体の補修は、出来る限り内部でやらせろ! ――……
「全ての動力機関に備えた魔石の交換と調整作業は、ニ十分ほど掛かります!」
「一号機の乗務員達にも作業を手伝わせ、十分以内で終わらせろ! ――……確認は出来たか?」
「……
「……ッ」
「そんな……」
観測士の報告を聞いたシルエスカと
高威力を誇る
そんな
「――……
「!」
「し、しかし……」
「このまま
「……はいッ!!」
「都市の高度は?」
「十キロを下回っています! 地表までの落下時間、凡そニ十分!」
「障壁は船体強度の維持に集中させ、速度を緩めながら進め! 各砲塔と各機銃には射程距離に入り次第、攻撃させるよう伝えろ!」
「はい!」
シルエスカの命令を艦橋員達は聞き届け、各々が船内の人員に命令を伝え届ける。
そうして
その時、
そしてその情報は、すぐにシルエスカに伝えられた。
「――……元帥! 前方から、白い光が向かってきます!」
「!」
「白……。ならば、復活したというアルトリアか……」
「どうしますか!? 砲塔と機銃に、撃墜を――……」
「……アレは無視しろ! 我々はあくまで、瘴気を放ち魂を幽閉する
「りょ、了解!」
「ただし、奴がこちらに攻撃の意思を見せたら撃ち落とせ。……弾の無駄かもしれないがな」
シルエスカはそう命じて呟いた後、
それを見た艦長が、止めるようにシルエスカに呼び掛けた。
「元帥、何処へ!?」
「ここの指揮は、
「!」
シルエスカはそう述べ、腰に携えた長槍と短槍を両手で引き抜きながら
それを見送った艦長はすぐに前を向き、改めて
そうした中で、六枚の白い翼で羽ばたき赤い
そして改めて
「――……駄目だわ。あの
アリアはそう述べ、右手に持つ短杖を赤い
そして集中するように瞳を閉じた後、短杖が白い
しかし次の瞬間、嫌な音がアリアに聞こえる。
それは亀裂が走る短杖と嵌め込まれた白い魔玉が軋みを上げた音であり、思わずアリアは目を見開き魔法での解体を中止した。
「……
アリアは自身の魂を宿らせた短杖が、『悪魔』に負わされた亀裂に因って限界だと知る。
そして無理に赤い
そうした状況で
直径で二百メートルを超える赤い
それでも回り込みながら更に近付く
しかしそれも砲塔以上に効果は薄く、それを上空から見下ろすアリアは苦々しい表情を見せた。
「……やっぱり、駄目……ん? アレは……」
その時、砲撃と銃撃を続ける
そうした行動をする者達の中には箱舟の真上に白く巨大な魔力球を生み出し、それを赤い
「――……いっけぇッ!!」
それは
彼女は自身の真上に生み出した巨大な魔力球を跳躍しながら蹴り放ち、凄まじい豪速と高威力の魔力球で
「――……うぉおおらぁああッ!!」
更に同じ干支衆である『虎』のインドラが魔人化させた肉体を更に逞しくさせ、太い剛腕と剛脚で目にも止まらぬ速さで薙ぐ。
すると巨大な
その二人の遠距離攻撃が、赤い
凄まじい轟音と衝撃が巻き起こりながらも、攻撃を加えた張本人達には面白くない現実が姿を見せていた。
「――……えぇ、嘘でしょ……!? 私の全力なのに……」
「チッ、欠けてすらいねぇぞ……!?」
凄まじい魔力攻撃を二人は放ちながらも、赤い
そうした二人の下から
そして先に上がって攻撃を加えていた二人を見渡し、赤い
「……私では、攻撃は無理だな」
「バズの
「俺達に任せとけよ。――……うぉおらぁああッ!!」
「はぁああッ!!」
遠距離攻撃の手段を持たないバズディールを慰めるような言い方をしながら、他の二人は攻撃を続ける。
そしてバズディールが出て来た
それは
そして真正面に
更に助走を加え船体の前端まで凄まじい速度で駆け、船体の装甲を陥没させる程に左足を踏み込ませる。
それに合わせ右手に持った赤槍が炎を灯し、身体全体を使って凄まじい速度で投げ放った。
「――……『
シルエスカという発射台によって投げ放たれた赤槍は、赤い流星の如く夜空を駆ける。
そして音速すら超えた炎を纏わせた赤槍が、赤い
直撃と同時に凄まじい衝撃が赤い
しかしシルエスカと干支衆達は、その結果を否応なく見せられた。
「――……クソッ」
「……ダメかぁ」
「アレ、本当に壊せるのかよ……?」
「……ッ」
悪態を吐くシルエスカは、赤槍が直撃した部分を目にする。
そこには亀裂どころか欠けた様子すら見えず、赤い
その様子を上空から見ていたアリアは苦々しい表情を浮かべると、逸らすように流した視線を赤い瘴気に満たされていく都市に向ける。
そこに映った光景の中に、ある人影が信じられない場所から駆け上がっている事に気付いた。
「――……まさか、エリク……!?」
アリアが驚き思わず声を漏らしたのは、大剣を右手に持ちながら足で駆けるエリク。
しかしその場所は赤い
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