この物語は人の読むものですので、人間の言葉で書かれています。本作の猫は人の言葉でコミュニケーションを取り、人の言葉で思考します。
にもかかわらず、彼らの猫性は少したりとも損なわれません。真に迫った猫写のなせる技でしょう。
生き生きとした猫たちの愛らしい姿に癒され、彼らの冒険に肝を冷やし、つらい体験に目を潤ませる……。猫好きには堪らない一作です!
猫を飼っている方、飼っていた方、これから飼う方、あるいはただ猫が好きな方。窓の外で鳴いている猫を覗くように本作を覗いてみてください。
読むと猫を撫で回したくなる副作用がありますので、可能であれば膝の上に猫をセットしてから読み進めるのをお勧めします。
きっと夢中になりますよ。
猫の視点から猫社会を描いた、猫好きにはたまらない一作。
飼い猫の主人公は、引っ越しのどさくさで道に迷い、飼い主たち一家と離れ離れになってしまう。そこで主人公を助けてくれたのは、情報通でその地域の猫社会でも上位に位置するハチだった。主人公は様々な野良猫との交流を通して、野良猫社会に溶け込んでいく。しかし野良猫たちに何を言われても、主人公は飼い主を諦められなかった。
この一帯の猫のボスはクロと言う黒猫だった。クロは、黒いと言うだけで、人間から不吉がられ、捨てられた過去を持っていた。そんなクロが、主人公を助けるために、人間に捕まった。ハチは、クロを助けるべく、地域の野良猫たちに捜索要請を出す。主人公は公園猫たちへの伝令を頼まれたが、それは野良に不慣れな主人公を捜索には出せないと言うハチの判断だった。しかし、クロは自分のせいで捕まったのだと思うと、主人公はいてもたってもいられない。しかもクロが捕まった家は、かつて猫を快楽的に殺していると噂があって……。
果たして、クロの救出作戦は成功するのか?
主人公の飼い主は無事に見つかるのか?
個性豊かな猫たちの絆と冒険の物語が、今開幕する!
猫たちの言葉に、胸を打たれること間違いなし!
自分の境遇を嘆かず、自分のありのままを受け入れて、強く生きる猫たちに心を揺さぶられます。また、視点が猫の視点からぶれずに描かれているので、人間側が新鮮に見えました。
是非、御一読下さい。