第十五話(二)
鏡は
「はあ、何でノゥだと云わなかったトジュロー」
「
上手く忍んでおったつもりの吾輩に向けてトジュロー君が尋ねる。
「そうとも、僕は
自分で自分の馬鹿を承知しているほど
「しかもあの令嬢は両人の所へ来たいそうだが、ついぞどちらなるかを聞損ねてしまった。さて、コルドーウインドどちらの事だろうか。宴終りの時分、僕はかなり酔うておったから」
――覚えておらぬ、そう困り顔で云う。吾輩も実の所、鼻王の云うひと悶着なるものに対して
「コルドーには尊敬畏服の念がある。
吾輩は、にゃあ、と一声鳴いてやった。
「だろうとも。君とて
これには吾輩些か
「ふむ。確かに令嬢は
いやはや、まるで見込違いの見当違いもいい所である。そんな事はどうでも
吾輩は雪隠でいくら
吾輩は呆れ半分に
「アハハハ、違いない。早速戻って準備をするとしよう」
ん?――だんだん吾輩にも通じておるのか通じておらんのか判然としなくなって来た。
一人と
「朝餉が済んだらゴルトン王に拝謁して一流作とやらの武具一揃を貰い受け、その足でいよいよもって魔王討伐に出向こうと思っておるのだけれど、皆宜しいだろうかね」
残る鼎人は神妙な面持で
「どちらを目指しますか」
「僕は北を目指すのが
「東西はいかがです?」
次なる語はウインドである。意外にも大真面目な顔付をしているので驚ろいた。
「東には大海、西は大砂漠がある。いずれも人も住まぬ土地柄ゆえ魔物の風説も
最後にクシュンが云う。
「ならば北方が
「うむ」トジュロー君は今一度鼎人の顔を
左様。
吾輩を失念してはならんと、にゃあ、と一際高く鳴いておく。
吾等は今一度トジュロー君が指し示す一点を見つめる。
メゴシュー山――そこは、神と魔が邂逅すると
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