第十四話(一)
二十四時間の出来事を
さて鼻王主催の宴は、
◆◆◆
翌日お天道様が傾きかけた頃、
「どちらへだね?」とトジュロー君が一同を代表して応じる。
「ええと。ちょっと用があるから御一行を呼んで来いとおっしゃいました」
「判然としないな。どちらへ参れば
「ではこちらに」
女中の案内で吾輩以下勇者様御一行は廊下を歩いて行く。するとウインドが何やら
「本当に王女様に贈る歌を書いたのか」とコルドーは半分呆れ顔半分熱心に聞く。
「よく人の
ウインドが王女王女と無遠慮に云うのを聞くたんびにコルドーは不安の様子をする。
「相変らず元気がいいね。結構だ」とトジュロー君。すっかり呆れの
「えらいと褒めるなら、もう少し博学なところを御目にかけましょうとも」とウインドは調子付いてまた
「なるほど少し妙ね」とクシュンはどこまでも調子を合せる。
「ウインド先生の有難いお話しはまた今度に
「ではこちらへ――」
案内役の女中が小な身体を大に使って一際豪奢な
「おお、やっと参ったか。さあ、こちらへ来て掛けると
大広間より広いかちっとばかり狭いかの
「これ、押さないでくれたまえよクシュン」
「後が使えておりますもので……」
「緊張して手が震えて来ました」
「やあこれはこれは。いやはや盛大ですなあ」
しどもど
吾輩も御同類でこの場におわす御歴々は当に吾輩が普通一般の猫でないと云う事を御存知だろうから構わずのそりのそりと参る事にする。この点については深くラビリス嬢の恩を感謝すると同時にその活眼に対して敬服の意を表するに躊躇しないつもりである。鼻王がかつて吾輩を知らずして野良野良と呼ばわった事も別に腹も立たない。今に
「さぁさ、先ずは勇者様御一行の門出を祝して乾杯と参ろうではないか」
ようやっと席に着くなり鼻王の合図で宴が始まったようだ。さて吾輩はと云えば用意された席は固く辞して、坐らぬ事にし隅の方でぴちゃぴちゃやるのと極めた。とは云えこちらもこちらで根津権現でも
「貴方がトジュロー様にございますか」早速話し掛けたのは
「いかにも。
「あら
「はあ」云われたとて別の上手い云い廻しも思い付くまい。トジュロー君
「そちらがクシュンね。御似合の
「ああ、いや。吾等は幼少よりの旧知の仲でございまして」
「そ、そうでございます。そう云った間柄では……」
思わず両人顔を見合わせ揃って、目の前にかかった
「善いんですのよ、宜しいじゃありませんか御隠しにならずとも」
まるで取合わずアハハハとお笑いになった奥方様はまた別の者とお話しになられる。
「そう見えたのかなあ」とトジュロー君。
「わ、私に聞かないでください」
「いや、悪い気はせんから善いんだが」
「……なんと仰いました?」
「なんでもないさ。なんでも」
トジュロー君、早々に
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