第十一話(二)
トジュロー君とコルドーウインドの帰ったあとは木枯しのはたと吹き
「今日はなんだか私まで疲れてしまいました。何もしておりませんと
そうお
吾輩はベッドに腰掛けているクシュンの膝上に音も無く駆上がり、礼儀正しく
「ふふふ。本当にお疲れ様でした、マダナイさん。御立派な活躍でしたよ」
吾輩を優しく撫でるクシュンの手は何だかふわふわくすぐったい。ようやっと猫族の扱いが
やがて
「はい。マダナイさんもお食べになって下さいね。奮発しましたから」
膳の上を見ると、丸々太った
にゃあ。
さすがに春の灯火は格別である。天真爛漫ながら無風流
クシュンの癖として寝る時は必ず小本を
今夜も何か有るだろうと
さて、吾輩も眠るとしよう。
本日は格別に疲れてしまった。
明日の事は明日考えたら宜しかろう。
◆◆◆
ライプニッツの定義によると空間は出来得べき同在現象の秩序である。いろはにほへとはいつでも同じ順にあらわれてくる。柳の下には必ず
「さてさて。君等の冒険行はどうだったかね、クシュン君」
手前勝手にベッドに上がり込んで
「あらやだ。あの
「聞いたは聞いたがね。私は君の
ラビリス嬢がにやにやしながら吾輩を見おったものだから、話してはいけぬ話してはいけぬと
「何とか皆無事に帰ってこれましたよ」
「それだけかね」
「それくらいのもんですよ。そうそう
「勇者猫様の
ラビリス嬢
「スライムが出たんですよ。もう善いでしょう」とクシュンは重たそうに口を開く。
「そりゃ結構だな」
「何が結構なものですか。
「いやいや、自分事だとも。本来なら私も同行する手筈だったのだからね」
「
「君とトジュローの邪魔をしちゃいかんだろうと泣く泣く辞退したと云うのに虚言とは
「またそうやって
朱に染まった頬を張りぷいと
「近日中に珍報があるだろうとも。珍報とは真の珍報さ。
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