第120話 アフター・エスカトロジー
●川上文月
子供が生まれてから、捜索隊を組織して、世界中を旅することになる。萩原家やエバンス家の人々、『夜』メンバーの家族達が無事なのか、救出できたのかはまた別のお話。
筋力も体力も知力もそこそこなので、現場ではあんまり役に立たない。判断力に優れていると思われがちだが、状況の説明役がとても分かりやすく説明して、さらに知恵を授ける姉妹が隣に居るだけである。
人柄は良く、それでも町民からは慕われている。少し抜けていた方が近寄りやすく、親しみやすいらしい。
まだまだ若いので、第二子を授かるのは時間の問題だろうと思われる。
因みに一家の大黒柱は当分、彼ではなくシレークスである。
●萩原美裟
普段は優しいが、怒るとめっちゃ怖いという典型を行く柔らかい鬼嫁。怒るのも基本的に感情からくるのではなく心配や叱咤激励なので嫌味が無いと夫からは評判。怒るより叱るに近いらしい。よく子供はぎゃんぎゃん泣いているが。
文月が世界を旅するようになり、殆ど町へ帰って来なくなるが、今度は彼女は『待つ女』となった。子供も居るので当然だが。それでも、夫のやることに叱咤しながらも反対はしない。
ボスの妻として町を仕切る場面もちらほら。本当に、誰もひと言も逆らわないらしい。言い方はともかく、言葉は理路整然として全て正しいからだと、アレックスは語る。
まだまだ若いので、第二子を授かるのも時間の問題と思われる。
●川上アルティミシア
その聡明さと記憶力の高さから、町の『学校』を建てる時に教師として招待される。本人は頑なに拒否していたが、いつまでも駄々をこねる子供ではいけないと、最終的に承諾した。教科書や、その他彼女が読んだことのある本の書き起こしで活躍する。
同い年や年上なのに生徒、という状況が当然発生し、その生徒のひとりと恋に落ちることになる。
兄の捜索隊には付いていかず、町に留まり、復興や発展に尽力する。大人顔負けの知力を以て、みるみる町は発展していっている。
恋の行方も、別のお話。
●川上セレスティーネ
学校に行きたかったらしく、年齢的にも当然行くべきなので、アルテの生徒となった。だが当然、月影島での教育はアルテと同じように進められていた為、常に成績はトップのまま卒業した。教えること無いです、とアルテは文句を言っていた。
卒業後は服屋、料理人、建築現場監督、ダンサーなど職を転々とする。どれも才能を認められたらしい。
アルテが結婚する頃になっても、浮わついた話が一切無かった。彼女に惚れている男は多数居る筈だが、誰も告白をしないらしい。つまりセレネは、そのいつも元気で明るく、誰にでもそのように接する所からアイドル的人気により神聖視されるようになってしまったのだ。
本人も恋愛にあまり興味が無いらしく、まだまだ色気より食い気な様子。双子の姉が結婚すれば、多少意識をし始めると思われるが。
因みに、捜索隊に付いて行こうとしたが体力的な面で不合格を食らってしまった。
●ディアナ・エバンス
そもそも『夜』メンバーに慕われていたこともあり、文月が居ない間の実質的な指揮権は彼女が握っている。というか文月は指揮をしたがらないので居ても居なくても彼女が握っている。堕天島の運営経験もあるため、割りとスムーズに復興ができている。
若く女性だということで、『夜』以外の住民からの支持は芳しくなかったが、農業用水路の確保や上下水道の整備など実績を積み重ねて徐々に信頼されるようになる。
セレネと同じく、男っ気が無い。というより、毎月のようにアプローチはされるのだが、片っ端から断っているのだ。曰く、今の町の状況を見ていると自分だけ遊んでいる訳にはいかない、とのこと。以前文月のことを固く真面目だと指摘していたが、似た者同士である。
しかし彼女を射止めるにはシレークスという断崖が存在するので、そこは御愁傷様である。
●シレークス
悪魔ではなくなったものの、体力は並みの成人男性の3~5倍ほどあるとされ、建築や伐採などで復興初期に大いに貢献した。
1日に1回は、愛月とカエルムの所へ寄っている。ディアナ曰く、彼に再婚する意思は無いらしい。というよりいつの間に仲良くなったんだと、文月は驚いていた。
一家の大黒柱。というより彼と娘と双子しか殆ど稼いでいないようなものなので、必然である。
実年齢は40手前らしいのだが、それを言い当てた者は居ない。雰囲気的には、この男こそボスである。
ソフィアの事だけは心残りであるが、もうある程度は納得しているらしい。
捜索隊には参加する予定。もしかしたら堕天島に……。
●佐々原きさらぎ
天界での、最後の自殺の傷痕だけは消えずに残ったらしい。自殺自体は罰や代償ではないのだが、おまけで生き返らせて貰えたと本人は語っている。
再婚する意思は強いのだが、『丘の上の一家』の一員となる、と考えた時に物怖じしてしまう男しかおらず、なかなか男が寄り付かない。アルテに先を越される見込み。
アレックスとの仲は良好で、文月に対する美裟のやり方を見本にしているのでは、と囁かれている。
無職である。基本的に何もしていない。適当に町をふらついては、ただ飯を食らうような生活をしている。
だが、町民の悩みを聞いたり、仕事についてのアドバイスなどをやったりしているらしく、人気は高い。
良い感じのポジションを得たとほくそ笑んでいるとか。
●佐々原神奈
セレネに続き、入学から常に成績トップで卒業した神童。いつも無表情で大人しく、感情を表に出さないような、母親とは真逆のタイプに育った。
しかし、実は好きな男子がおり、中々近付けないでいる。運良く話す機会があっても、意地を張ってしまうのだとか。
文月と美裟の子供のお姉ちゃんとして、しっかり者になる決意を5歳の時にしたらしい。そして、きちんとしっかり者に育った。毎日遊んでばかりの母を叱るなど、そのしっかりさは留まることを知らない。
聡明なアルテや天才肌のセレネを尊敬しており、追い付け追い越せと勉強に励む。
●アレックス・アルカディア
2000年前のイスラエルの話を持ち出す辺り随分とぶっ飛んでいたが、完全に人間となったことで徐々に現代に戻ってきた。
きさらぎには全く逆らえず、しかし本人もそれで良いと思っている。
幼い神奈が『パパ』と呼び出したときはどうしようかと思ったが、きさらぎは笑っていたので気にすることではないのかと撫で下ろした。
基本的に文月の執事として動こうとしていたが、文月に拒否されたので仕事が無くなった。そこをシレークスに拾われ、彼も現場に出るようになる。捜索隊にも参加する。
彼は1日に3回は愛月とカエルムの様子を見に行っている。
●川上家の元執事、メイド達
基本的に全員解雇され、町で暮らしている。だが愛月への恩や忠義は無くなっておらず、そのまま文月への忠誠となっている。復興にも非常に協力的で、能力も高い。フランソワは教師に、ブライアンはアルバートの隊に合流した。フランソワは一応、天界から脱する際にサリエルと少しだけだが会話ができたようだ。エマも頻繁に、愛月の様子を見に来ている。
●アルバート・マーティン
最初から最後まで、愛月を信じている最古にして最大の信者。だからこそ、妻子の居る月影島は無事だと考え、町に残った。捜索隊には当然参加するどころか隊長を任された。ヤル気満々である。
町ではその筋肉を以て、治安維持も務めている。彼に喧嘩を売る者は、ウゥルペスくらいである。
無事に妻子と再会できるかは、別のお話。
●『夜』の元兵士達
その体力を活かして、シレークスやアルバートの指揮下で活躍する。やることが訓練から力仕事になっただけで、彼らの生活環境自体はそこまで変化が無い。月影島に家族が居る者も居るため、殆どが捜索隊に参加する。
しかし、戦争の結果や愛月の状態を受けて、文月や『夜』に失望して町から離れ、別の生存者のコミュニティへ渡った者も一定数居た模様。
彼らの一番人気はきさらぎとディアナだが、最近セレネ派が増えてきているらしい。
何人かは、元メイドと結婚する者も。
●ウゥルペス
実は地味に人間となっていた。町の中心部から少し離れた所に居を構え、元魔女達と暮らしている。もう契約関係は解消されたが、彼の元を去る魔女は居なかった。
大災害の後のベイビーブームの火付け役として、今日も張り切っている。
正直この男から魔術を取ったら精力以外殆ど何も残らないので、現場の労働力としては低い。文月より多少ましというレベルである。元悪魔として知力はそこそこ長けているので、生徒に手を出さないという誓約書を交わさせられてから教師をさせられることになる。
本人はここでの暮らしを気に入っている様子。たまにアルバートや文月にちょっかいを掛けて殴られている。
捜索隊には絶対に参加したくないらしい。
●ウゥルペスの元魔女達
放っておくとただの女子高生のグループだが、ウゥルペスが見込むほどの魔術の才能があったので、基本的に頭の出来は良い集団である。何人かは教師になったり、捜索隊に付いて行こうとしたりしている。その他はそれぞれの好きな土俵で多種多様に働いている。主がよくサボるので困りものであるが、元々彼を慕ってここまで付いてきたのでどこへ行ってもかしましく、幸せそうである。
しかし約2名ほど、以前シレークスにトラウマを植え付けられているのでそこだけが心配である。
●リー
彼も、奇跡が無いと基本的に社会不適合者のため、やや苦労することになる。料理の腕を活かし、町の台所として認められていくのだが、多少のアクシデントもあった模様。
その後いつの間にか再婚しており、子供ももうけていた。よく分からない男である。
捜索隊には参加せず、町の発展に尽力する。
——
——
見よ。わたしは、
主の大いなる恐ろしい日が来る前に、
預言者エリヤをあなたがたに遣わす。
彼は、父の心を子に向けさせ、
子の心をその父に向けさせる。
それは、わたしが来て、
のろいでこの地を打ち滅ぼさないためだ。
〈マラキ書:第4章5、6節〉
——
見よ。わたしはすぐに来る。わたしはそれぞれのしわざに応じて報いるために、わたしの報いを携えて来る。
わたしはアルファであり、オメガである。最初であり、最後である。初めであり、終わりである。
犬ども、魔術を行う者、不品行の者、人殺し、偶像を拝む者、好んで偽りを行う者はみな、外に出される。
〈ヨハネの黙示録:第22章12、13、15節〉
——
——
「——ふぅん。でも、『それ』はもう終わったわよね。聖書には『この先』は書いてないのね」
「確かにそうだな。『これから』のことは、もう誰にも分からない」
「じゃあ預言はこれで『おしまい』なのかしら」
「俺たちの『世界』では、そうかもしれないな」
「ふぅん。ま、そんなことより。そろそろご飯できるから、皆を呼んできて」
「ああ分かった」
「ふふ。あんた嬉しそう」
「当然だろ。待望の『全員集合』だぞ。何年越しだって話だ」
「ええ。良かったわね」
「ああ——」
——
——
ネフィリム・エスカトロジー 弓チョコ @archerychocolate
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