第2話 青春ソングってどこまでが適応ですか?
都内の割に、比較的のんびりした地域に住んでいるため、朝はスズメの鳴き声が聞こえる。
土曜日の朝。
非常に天気は良い。
快晴だ。
雲一つない、は言い過ぎかもしれないが、見える空の一割以下の雲の量な気がするので、快晴と表現して差し支えないだろう。
窓を開けて、外の空気を取り込む。
「ん・・・?」
あったかい。
小春日和って感じ。
むしろ、これ、冬服として着こんでしまったら絶対に暑いぞ。
スマホで天気を確認すると「晴れ 最高気温18℃ 最低気温12℃」との表記。
降水確率は10%だった。
あぁぁぁぁぁぁ!
なんだよもう!
昨日から、あったかすぎるだろう!
だけれど、少しは冬のつもりもある様で、頬を撫でる風はほんの少しひんやりしている。
しょうがない。この暖かさでも、今日は冬ソングを堪能すると決めてしまったんだ。
時計を確認すると時刻は9時10分を少し過ぎたあたりだ。
近所のパン屋さんはもう開店しているだろう。
朝食はそこのパン屋で買って、近くの公園に行って、冬ソングの旅に出よう。
身支度を整えると、俺は玄関の扉を開いた。
徒歩5分のパン屋は個人店で変わったものが多い。
カレーパンもスパイシーと甘口が合ったりして、住宅街ゆえに子供も多いからの配慮だろう。
仕事がある日の朝ごはんって食べる気がしないのに、休みの日の朝ごはんってなんでこんなに楽しみになるんだろう。
知らず知らずのうちにトレーに増えていくパンに俺は首をひねるしかなかった。
結果、いくつかのパンと野菜ジュース、パン屋が出しているスープを買って俺は公園へ足を向ける。
近所に朝早くからやっているパン屋が合って、さらにそこそこきちんと整備をされた公園があるというのは、幸せな環境だと思う。
自治体に金があるとこういうところは得だな。と思う。
その分、住民税は取られているのだけれど。
公園について、ベンチに陣取る。
こんなに早いのに、意外にも家族連れが多い。
パンをかじりながら、スマホをいじる。
「冬ソング・・・」
検索を始めると出る出る、山のような冬ソングのリスト。
年代別や2019年リストなんてのもある。
結構あるもんだなぁと思うが
「これって青春の曲だよな」
って思う曲を見ていくと10 年くらい幅があるんだが…
青春のあの曲って、いったい何歳から何歳くらいまでが対象なんだろうか。
さて、あのころの気持ちに今の自分がどこまで寄せていけるか。
あの頃の切なさって今はなかなか無い。
感情移入が簡単にできたあのころ。
俺はいったい何を見ていただろう。
ちょっとしたタイムマシーンに乗る気分だ。
最近の冬は温暖化の影響で冬ソングが染みない件 藤紗 @gauzewisteria
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