第9ページ 函南の呼び出し

「「「あっ!」」」


 固まる俺たち。だってそうだよな知り合いがメイドやってんだもん。

 どうやら函南むこうも同じらしく、俺たちを見ながら固まっていた。

 そんな俺たちを見かねたのかヘルプのメイドさんがやって俺たちは席に通された。


「葵君アレって・・・。」


「ああ。函南美波だ。」


「メイドさんやってんだね。」


「らしいな。」


 俺たちはメニューを見ながら特に意味はないが小声で話した。

 その後俺たちはメイド特製ケーキセット(チェキ付き1250円を食べたり、ヘルプのメイドさん(ちはやさんと言うらしい)と話したり、楽しい時間を過ごしていた。

 チェキは指名出来るとの事なので焼津はちはやさんを、俺は函南を指名した。

 出発する時に渡すそうなので、俺たちは会計を済ませ、チェキを受け取り早々に出発した。


「いやー楽しかったね!チェキもほら可愛いしさ!」


「まぁ確かにな・・・。ん?」


「どうした葵君、忘れ物?」


「いや、コレなんだけど。」


 俺がもらった函南のチェキの裏にこの近くの喫茶店と19時という文字が書かれていた。


「なんだろうね?メモかな。」


「んなわけあるかい。素直に解釈するなら俺たちを呼び出したんだろうよ。」


「そうだね。僕達には函南さんって心当たりがあるし、行ってみようか。」


「だな。」


 チェキに書かれた喫茶店で19時に待っていると少し遅れて函南美波が入って来た。

 すぐに俺たちを見つけると席について開口1番


「なんであんた達があんな所に。意味わかんないんだけど」


 と切り出した。


「たまたまだ。函南はバイトか?」


「そう。でも今日はヘルプで入っただけだから。まさか学年1の最低男と元不登校に見つかるなんてね。」


「酷い言われようなんだが・・・。」


「事実でしょ?まぁいいわ。単刀直入に言うけど今日の事黙ってて。」


「まぁ俺たちは別に・・・。」


「構わないよ。本当にたまたま行っただけだからさ。」


「そう、ならいいわ。これ以上面倒ごとは御免なのよ。」


「そういやこの前も校舎裏で大変そうだったな。」


「まぁね。あんた達には関係ないけど。じゃあ私コレで帰るから。」


「そうかい。」


「そうだ。どっか人に絡まれない場所知らない?学校で。出来ればゆっくりお昼食べられるとこ。」


「まぁ絡まれないかは知らんが屋上はいつも俺たちと委員長しかいないが・・・。少なくともゆっくり飯は食えるぞ。」


「ふーんあっそ。じゃあ」


 こう言って函南は帰っていった。


「いっちゃったね。僕なんか圧倒されちゃった。気迫っていうかオーラっていうか、全然喋れなかったし。」


「そんなん俺だってビビってるよ。」


 俺はかなり長い時間がたったと思っていたが、まだ熱いコーヒーが過ぎた時間の短さをこれでもかと唇に伝えていた。

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ツッコミから始まる高校生活はいつオチますか? 小野こまっち @komathi_onono

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