第51話

 金太は弾む気持を必死でこらえながらパソコンの電源を入れる。OSの立ち上がる時間が歯痒くなるくらい長く感じた。

 メールソフトの開くのを待って、急いでアイコ、ノッポ、ネズミの順にいまテレビで観たことをそのまま書いて送付した。

 最後になったが、デーモンにもと思って文章を作って送ろうとしたとき、アイコから返信メールが届いた。続いてノッポからも届いた。

 内容はふたりとも「見てなかった。でもジョージが無事でよかった」という簡単なものだったが、やはりふたりとも自分と同様心配してくれていたことが嬉しかった。

 そんな感慨に耽りながらデーモンへメールを送った。

 《 金太だよ~ッ 

   このメールを見てびっくりしないように。

   いまテレビでやってたんだけど、そのニュースに、ジョージが映ってた。

   おそらくあれはミズーリのおばさんだと思うけど、その人の手のひらの上    で、ジョージがポーズを取っている姿があった。

   見たところ元気そうだったし、あの報道のされ方からすると、犯罪者扱いに   はなってないみたいだから心配はいらないと思う。

   ジョージは無事に帰国できたみたいだ。よかったネ 》

   そしてメールの最後に、


 『21世紀の奇跡。 小さなコロンブス』


 と、洒落たテロップが流れたことを付け加えて送った。

 金太は、アイコやノッポと同じようにデーモンがテレビを観てないことを前提で文章を拵えた。メールを送ったあと、大きく安堵の息を吐いた。

 窓際に立つと、空から白いものがまるで楽しげなダンスを踊るかのように降りはじめていた。


            ( 了 )



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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『ロビン秘密結社』の仲間たち [Ⅳ] - 小さな密航者 - zizi @4787167

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