第三話 最強の荷物

「あの、失礼ですがもしかして、ユウキさんではありませんか? 運送屋の」

 声をかけられたのは、宇宙船乗りが集まる酒場でのことで――この導入、前回と同じだな。


 ただし、僕が置かれている状況は、前回とはまったく違った。

 ハイパードライブの整備(と支払い)が済んだ船は絶好調で、カイトも機嫌よく飛ばしてくれている。あれからすでに三件の速達割増便を含む四件の仕事をこなした。まだ僕の悪評が伝わっていない辺境田舎の惑星の金融機関でローンの借り換えもできて、おかげで貯金もできるようになっていた。

 絶好調、まさに絶好調。

 そもそも目的があっての労働、ビジネスなのだ。自転車操業なんてやっている場合ではない。目標額には程遠いが、着実に増えていく貯金額を見ると、懐だけではなく心にまで余裕が出てくる。

 余裕。そう、人間に必要なのは余裕だよ。それは例えここが銀河の果てであっても、変わらない。

 そのとき僕は、デバ星系外縁部のハブステーション、その無許可増設区画スラムにある酒場に来ていた。こういう店は存在すること自体が違法だが、このような主惑星から遠く離れた宇宙ステーションで無許可営業の取締などやるリソースは治安当局にないし、こういう店は概して値段が安いため、僕のような低賃金労働者(正確には経営者だけど僕)にはありがたい。まあそういう場所であるゆえ、治安みたいなのはよろしくはないんだけど。


 僕は二杯も飲むと悪酔いすること間違い無しの人造アルコールの炭酸水割りが入ったジョッキをテーブルに戻すと、声の主を振り返った。

 長身の人間型宇宙人ヒューマノイド、男性だ。よく鍛えられた体つき。あの太い腕にかかれば、僕のひ弱な手羽など簡単にもがれてしまうだろう。屈強な印象だったし、顔つきすらも逞しかったが、表情は柔和な雰囲気で、その時は微笑みすら浮かべていた。

 その顔に見覚えがあった。

「あんた確か……シュトレーム星系の?」

 男は相好を崩すと頷いた。

「あの時は“姫”の警護を担当していました。パトリス・セドランです。その節は、大変お世話になりまして」

 僕は思わず周囲を見回し、会話を誰かに聞かれなかったか確認した。

 酒場の喧騒の中で聞こえそうな距離には、誰もいない。

「お姫様、元気?」

「おかげさまで……忙しくはしておりますが」

 シュトレーム星系のお姫様とそのお付の者の移動を手伝ったのは、もうずいぶん前のことのように感じる。考えてみれば、“帝国軍”に目をつけられるようになったのは、あの仕事がきっかけだった。あのときも詳細諸々を知らされずに、というか半ばだまし討ちのような形で修羅場に巻き込まれたのだが――話せば長くなるので詳細はまた次の機会に。

 僕はシュトレーム星系国家元首の、(地球人基準で見ても)美しい顔を思い出したが、記憶を追いやるように手を振った。

 男は薦めもしないのに、隣の椅子に腰を下ろしてきた。

「この星系へは、お仕事で?」

「僕は運送屋ですよ」

「のんびりお酒を飲んでいるってことは、一仕事終わったところでしょうか」

 どこか嬉しそうなセドラン氏――階級は確か中佐――の表情を見つけ、僕の背筋に冷たいものが走る。

 一刻も早くこの席を立つべきだ……短い宇宙生活で身につけた勘が、僕にそう囁いているような気がする。

 ジョッキにはまだ大量の酒が残っていた。お得だからって大ジョッキを頼んでしまった数分前の自分を内心で呪う。

 そういう僕の気持ちなど知る由もなく、セドラン中佐は言った。

「ここで会えたのは大変な幸運です、ユウキさん」

「えっ、そうかな? 僕はそうは思わないけど」

「どうかお力をお貸し願いたい!」

 僕の皮肉が効き過ぎたのか、中佐は間髪入れずにすごい勢いで頭を下げた。

「ちょっと、いきなり何……頭をあげてくださいよ、恥ずかしい」

 とはいっても、周囲の視線を集めたのは一瞬だけ。

 顔を上げた中佐の顔は、先ほどとは打って変わり真剣だった。

「我々には船が必要なんです。足が速くて、真に勇敢な船長が操る」

「へぇ」

 僕はジョッキの方へと向き直った。

「見つかるといいっスね」

「話だけでも聞いてください!」

「えっ、いや、遠慮します。勇敢どころか、僕、臆病チキンなんで」

 そう言って僕は、指先まで真っ白の羽毛で覆われた手で、頭頂部の赤く立派なトサカを撫でてみせる。その手羽先で器用にジョッキを掴むと、黄色いクチバシで酒を飲んだ。

 考えてみれば、臆病者のことをチキン野郎などというのは、地球語のスラングで、シュトレーム星人の彼には通じなかっただろう。

 彼は必死な様子で更に言い連ねた。

「二十億の人命がかかっているんです!」

「二十億?」

 僕はジョッキを置いて、目だけを彼に向けた。

「ひとつの種族まるごとって人数じゃないですか」

 中佐は頷いた。

「まさに、ひとつの種が――いえそれどころではない、ひとつの星系が、滅亡の危機に瀕しているのです」

 無闇に重たい話を唐突に持ってこないで欲しい。

「あなたが力を貸してくれれば、彼らを救うことができる」

 重い。重すぎる。僕みたいな小物に命運がかかってしまう前に優秀な人たちで解決しておいて欲しかった。

「お願いします! もはや、あなただけが頼りなんです」

 もう一度、深く頭を下げられ、お人好しの僕は諦めたように言った。

「聞くだけ! 話、聞くだけですからね!」


 僕が座っていたカウンターと反対側の壁際、テーブル席のひとつを、セドラン中佐の連れが囲んでいた。どうやらここで話し合っているところで、僕がカウンターに座るところを見つけたらしい。彼らにとってはカモがネギ背負しょっって……いや、ニワトリが宇宙船を背負って来たというわけだ。目立つ容貌が恨めしい。

 テーブルを囲んでいるのは、中佐と同じシュトレーム星人の若者のほか、壮年で色黒の人間型宇宙人ヒューマノイドがもう一人、クーロン星人と思しき触覚を貯えた男が二人だった。

「あなたが“チキンライダー”? “七月革命の英雄”?」

 シュトレーム星人の若者が興奮気味に立ち上がり、右手を差し出してきた。

「お会い出来て光栄です! 先日は、人身売買シンジケートを壊滅させたとか!」

 僕は言われた言葉に驚いて、拒否する間もなく握手してしまっていた。

「シンジケートを、壊滅?」

 何を言われているのかわからなかったのだが。

「たしか、イーデン星系でしたか」

 先日のアレのことか、と思い出す。

 しかし彼は勘違いしていた。犯罪組織を壊滅させたのは現地の警察当局で、僕がやったのはそこのボスが乗った船を成り行きで沈めたことだけだ。しかも正確には、それをやったのはウチの居候ロボットだし。

 訂正しようとしたのだが、若者の張り切りを中佐がなだめたため、きっかけを失ってしまった。叱られた若者は悪びれた様子もなく席へと戻る。

「先に言っておきたいんですけど」

 僕は薦められた椅子に腰を下ろす前に口を開いた。

「秘密はなし。最初からすべて、ありのままに話すこと」

 僕は皆に向かって言ってから、セドラン中佐を睨みつける。

「あんたたちには前科があるんだから」

 目をそらす中佐。

「しかし!」

 代わりに強い剣幕で口を開いたのは、壮年の人間型宇宙人ヒューマノイドの方だった。

「すべてを聞いてしまった場合、断ってもらうわけにはいかない。これは国家の重大機密を含む問題なのだ。本来であればキミのような荒くれ無法者が関わる案件ではない」

 重大機密をこんな場末の酒場で相談していたとはね。

「なるほど」

 僕は頷いた。

「あれー、そういえば、この仕事、僕が受けたいんだったっけかな? 違うよなー。そっちが話だけでもって言うから来たんだよなー。そういうことなら仕方ないですね。それでは僕はこのへんで。アディオス・アミーゴ」

 慌てて立ち上がったセドラン中佐が、立ち去ろうとした僕の前に立ちふさがる。

「お待ちください……!」

 鬼気迫る表情に、軽口を言っていた僕もさすがに足を止める。

 中佐は僕に小さく頷いてから、壮年の男へと向き直った。

「このお方は、我がシュトレーム王家の恩人……本物の英雄なのです。失礼な言動は、謹んでいただきたい」

 彼らシュトレーム星人の僕への評価は、はっきり言って過大だ。

 彼らの仕事を助けたときに大変に喜ばれたのは確かだし、結果的にそれが国家存亡の危機を救うことになったわけだが、あれはタイミングがよかったというのと、あとはたまたま僕が彼らが持っていないものを持っていたというだけのことだった。だから“英雄”とか“恩人”などと言われるのはかなりこそばゆいし正直やめて欲しい。

 壮年の人間型宇宙人ヒューマノイドが言った“荒くれ無法者”の方が、僕の評判を正しく言い表していると思う。実態はそれとも違って、ただの臆病な密輸業者なのだけれど。

 しかしまあ、そういうことをこの場で言うわけにもいかず。

 壮年の男は謝罪のつもりなのかわずかに会釈のような素振りをして、僕は中佐に促され、今度こそ席に着いた。


「運んでいただきたいのは航宙規格スタンダードコンテナひとつ。行き先はコリ星系第三惑星アンタル。できるだけ早く運んでもらいたい」

「なるほど。コンテナの中身は?」

「反物質弾頭ひとつ」

 物騒な響きに、僕は眉にしわを寄せる。

「光子魚雷か?」

 反物質弾頭は、銀河文明でも最も強力な部類に入る兵器の一つだ。使用はもちろん、製造、売買、移動も厳しく制限されている。ついこのあいだまで一発抱えてウロチョロしていた身で言うのもアレだが、平時であれば軍艦以外の船で移送するような代物ではない。

 中佐は首を横に振った。

「軍事用の戦反物質弾頭ではありません。単純な破壊力は百倍近くになる、惑星破壊用の戦反物質弾頭、“プラネットデストロイヤー”です」

「なっ……えっ、プラネットデストロイヤー!?」

 僕は大きくなりかけた声をなんとか抑えて、続けて聞いた。

「プラネットデストロイヤーが、このステーションに?」

 ないと言って欲しかったが、期待むなしく、セドラン中佐は首を縦に振った。

 プラネットデストロイヤー。僕はそれを概念的には知っていたが、見たことなどもちろんなく、運んだことだって当然なかった。感覚的には、地球の一般人が、本物の核弾頭を見たことがないのと同じようなものだと思ってくれていい。

 しかし、その破壊力は、地球上で製造されたあらゆる破壊兵器を上回る。その名の通り、惑星を破壊する目的で作られた、銀河でも最強クラスの爆弾だった。

 そんなものが、この直径十数キロ程度のステーション内にある……想像するだけでもゾッとする。

「バカなのかこいつら」

 僕は思ったことを口に出してしまっていたが、思わず日本語で口にしていたので、彼らに意味は伝わらなかった。

「いったい……なにをするつもりなんだ、あんたたちは」

 コリ星系のアンタルを破壊するつもりなのだろうか。アンタルが生命居住惑星だったかどうかちょっと覚えていないが、中佐は確か、二十億の人命のためだ、と言ったと思ったのだが。

 僕の表情から、考えていることがわかったのか、中佐は慌てて首を横に振った。

「いいえ、惑星破壊に使うのではありません。コリ星系政府と我がシュトレーム星系政府は、同盟関係にあります。この作戦は、コリ星系政府の要請で行われているものです」

「そうだとしても、どう使うんだ、そんなもの」

「コリ星系の主星、恒星コリに打ち込みます。急激化した中心核の核融合反応を、抑制するためです」

「……そういうふうに使えるのか?」

「実績がある方法です。コリの核融合は異常進行していて、膨張を続けています。すでにアンタルの気候に影響を与えはじめており、このままではそう遠くない未来、おそらく数ヶ月中に、アンタルは生命の住めない星になります」

 ようやく状況がつかめてきた。

「それを防ぐのが、我々の任務です」

「疑問なんだが、コリってのはそんなに不安定な恒星なのか? よくそんなんで文明が発展したな」

 恒星には寿命があるが、その変化は普通、数千万年から数億年かかって起きる。多くの場合は、惑星に生じた知的生命の方が恒星より先に滅びるものだし、そうじゃなかったとしても、異常が起こる前に別の若い星系に移民するなど対策を取るための時間はいくらでもあるものだ。滅亡まで数ヶ月などと切羽詰まった状態まで追い込まれているなどとは、ずいぶんとのんびりしていたというのでなければ、その変化がもっと急激に起こったということだ。

「その点については、確かなことは言えないのですが」

 中佐はなぜか周囲を気にしてから、続けた。

「コリは本来、とても安定していた主系列星太陽だったはずなのです。我々はこの急激な変化を、人為的なものであると考えています」

 人為的――つまり何者かが、なんらかの方法で、恒星核の反応を促進したのだと言いたいのだろう。

 技術的には可能だ。銀河文明は星すらも簡単に破壊する。問題は、

「誰がそんなことを」

「実は、これこそが、今回の輸送を普通の運送業者に頼めない理由なのですが」

 プラネットデストロイヤーを普通の運送業者に運ばせられない理由はほかにいくらでもありそうだが。僕はツッコミは控えた。続いた言葉は、それどころのものではなかったからだ。

「コリ星系政府は、帝国とのあいだで問題を抱えているのです。このことには、帝国が関わっていると、我が政府も考えています」

 僕は思わず大きな声を出してしまった。

「これ帝国案件かよ!」


 銀河帝国は、銀河系外縁部の三分の一ほどを支配する、巨大軍事国家だ。

 影響範囲としては、より多くの星系国家が加盟する銀河連盟より小さいが、単一の政府が治める国家としては、この銀河系で最大となる。数千にも及ぶ人類居住可能星系と、文字通り天文学的数量になるそれ以外の恒星系を、帝国は主に武力で支配下に置いてきた。

 帝国の歴史を語りだすと文字数がアレなので端的に説明するが、暴力的で自己中心的な、厄介な隣人だと理解しておいてくれればいい。

 そういう巨大国家なので、帝国支配圏での密輸需要というのは多く、僕もかの領域で何度も船を飛ばしたことがある。案件のいくつかは当然のように帝国の法に反するものだったし、もろに帝国軍とことを構えた案件すらある。そういうわけで僕は先方のブラックリストに乗っていて、最近は僕の方も、帝国とわかりやすく敵対するような案件はできるだけ避けていたところだった。

 隙あらば隣の星系に武力侵攻して支配下に置く、というようなやり方で支配地域を広げてきた帝国ではあったが、流石に巨大化しすぎて、ここ数百年その支配圏拡大の速度は鈍っている、という話だった。それでも勢力圏拡大はもはや帝国軍のライフワークとも言えるもので、常に周辺星系国家とトラブルを抱えていた。シュトレーム星系もそういう、銀河帝国と距離感の近い恒星系で、帝国との間には慢性的に問題を抱えていたし、おそらくはコリ星系もそうなのだろう。

「どうせ連盟法的にグレーな超長周期天体に希少資源でも見つかって、双方が所有権を主張してるとかそういうのだろ」

 僕は当てずっぽうで言ったのだが、彼らの顔色を見るとどうやら当たりらしい。

 星間領土問題ではありがちな話だ。

 そのあたりの政治的な話をするつもりはないらしく、中佐は続けた。

「帝国は、コリ星の膨張問題を解決する見返りに、その“トラブルの解決”を要求するつもりだろう、というのが、コリ政府の分析です」

 おそらく恒星反応兵器を使い、恒星の核融合反応を暴走させた。困ったコリ星に恩義を売り、本当に欲しいものを掠め取ろうという、つまりは帝国のマッチポンプというわけだ。

「セコイ連中だな」

「その証拠に、コリ政府のプラネットデストロイヤー調達の打診を、取引のある軍需企業はすべて断ってきました。帝国が手を回したものと思われます。そこでコリ政府の要請を受け、同盟国であるシュトレーム星政府がモノの調達を、輸送をクーロン星政府が引き受けたわけです」

 なるほど、それがクーロン人がここにいる理由か。僕はなんとなしにクーロン人の方を見る。

 だがクーロン人は口を開くつもりはないようだった。中佐が続ける。

「秘密作戦であるゆえ、民間仕様の高速貨物船を用意して、任務に当たっていました。ところが船にトラブルが発生して、彼らの尽力でなんとかここまでたどり着きましたが、以降の移動のめどが立たない、というのが経緯、現状です」

「船を修理してから行けばいいんじゃないの?」

「トラブルが多岐に渡り、このステーションでの部品調達は困難。取り寄せには時間がかかります。コリ星系には帝国軍が展開する準備を整えている、という情報がありますが、今ならまだ間に合います。帝国軍がアンタルの宙域を封鎖する前に、プラネットデストロイヤーを運び込みたいのです」

 なるほど。モノが特殊で状況が政治的であるという点を除けば、仕事自体は単純だ。

 コンテナを移して、コリ星系へハイパージャンプ、主星のステーションまで行って荷物を引き渡す。邪魔が入らなければ、それだけのことだ。

 邪魔が入らなければ。

「今なら間に合う? 本当に?」

「帝国軍だって、いくらなんでも名目なしに主権国家の領内にこれみよがしに部隊を展開したりできない――と思いますが、相手は帝国なので」

 正直言えば彼らだって、この交渉の時間すら惜しい、というところだろう。

 そういう事情なら、僕の存在は彼らにとって確かにおあつらえ向きだ。速い船と、万一、帝国軍を(今更)敵に回しても構わないという立場。彼らは“勇敢な船長”などと言っていたが、とどのつまり、帝国相手でも気にしない船長であればいい、というだけのことだ。

 僕もお人好しだし、仕事自体問題なさそうだし、そういうことなら引き受けるのはやぶさかではないな、と思い始めていた。だいたい、彼の言うことが本当なら、帝国のやり口は気に食わない。

「危険手当、速達料金の他、特別手当と……まあこんなところか」

 僕は通常のコリ行きの五倍ぐらいになる金額を端末タブレットに表示させ、相手に向けた。自分でも法外だとは思うが、プラネットデストロイヤーを運ぶのだから多少ふっかけてもいいだろう。

 中佐はその数字をチラッと見て、申し訳無さそうな上目遣いをしてみせた。

「実はこの任務、元々各星系政府が役割分担している関係上、“爆弾の仕入れ”以外の予備費は大して与えられておらず」

「……えっ、金ないってこと? オタクら、僕がなんだかわかってます? 運送業者ですよ?」

密輸屋運び屋だろう」

 壮年の男が言い、中佐が睨みつけたが、この男はこの状況で僕を怒らせてどうするつもりなのだろうか。

密輸屋運び屋だから、金にはうるさいんでしょうが」

「ユウキさんの事情は、よくわかっています」

 中佐は言った。

「あなたはご存知でしょうか。ラプノー星の“例の機械”は、星系国家には優先使用権があることを」

 中佐の物言いは、他の四人には唐突に思えたかもしれないが、僕には問題なく意味が通じていた。どうやら彼は、うっかりシュトレームの王女に話してしまった僕の事情を、聞き及んでいるようだ。

「優先使用権?」

「ええ。それを行使すれば、順番待ちリストをすっ飛ばすことができます。それが報酬というので、いかがでしょう」

 僕は彼の言葉を脳内で分析する。

 “僕の事情”の詳細は長くなるので別の機会に譲るが、ぶっちゃけ、僕が金を稼がなければならない理由は、彼が“例の機械”と表現したそれの使用料だ。天文学的な数字になるその金額の半分は、使用料そのものではなく、長い順番待ちに割り込むための保証金で、すなわち彼の申し出は、僕の目標貯金額の半分と等価だとも言える。

「それって、中佐の一存で決めていいんですか?」

 僕の問いに、セドラン中佐は顔色一つ変えずに頷いた。

「他ならぬ、あなたのためでしたら、姫は決してノーとは言いますまい」


『それで、引き受けたんですか? ユウキさんマジでお人好しですね』

「だって半分だぞ! 半分!」

 店の外、人通りを避けた路地。

 僕は一人、通信機を握りしめ、通帳の数字に思いを馳せる。

 目標額がいきなり半分になったのだ。それでだってまだ天文学的数字だが(日本円で考えたら二十億が十億になったようなもんだ)、正直ちょっと無理そうかなと思っていた数字が、なんだか行けそうな気がする、となるようなレベルだ。いや半分でもまだヤバいんだけど……それでも、元の数字がデカいだけにこれはかなり大きい。

『まあボクはいいんですけどね。プラネットデストロイヤーは楽しみだし』

「運ぶだけだぞ? 撃つんじゃないぞ?」

 僕は通信機越しにカイト、今は船の管理をやってくれているAIを窘める。

「速達だ。最短コースを検討しておけ。準備が済み次第、速やかに出発する。用意しておけ」

『貯金に手を付けることになりますが?』

「仕方ないだろ」

 気配を感じ、振り返ると、クーロン星人の二人が立っていた。僕の通話が終わるのを待っていたようだ。彼らは積荷のコンテナを下ろせば、今回の仕事からはお役ごめん、となるわけだが。

「クメオソナズウマ マアミヨフラルシ モウコオガ チムユテノ」

 一人がそう言い、もう一人が咎めるような素振りをしてから、二人は黙ってその場を立ち去る。

 クーロン語だろうか、あいにく僕には意味がわからなかったが、険しい表情をしていたから、何か文句でも言ったのだろうか。

 僕は通信機に耳を当て直す。

「聞いてたか?」

『はい』

「じゃあよろしく頼む」

 通話を終了させた僕は、店から出てきていた残りの三人と合流し、スラムを離れる。


 お互いの船は別の港に停泊しているということなので、途中でふた手に分かれた。僕についてきたのはシュトレーム星人の若者だった。

 自己紹介はすでに済ませていた。若者の名はテスカ少尉。士官学校を出たばかりだが、セドラン中佐によると期待の新人だそうだ。多少軽薄なところはあるが、飲み込みは早くフットワークも軽そうだ。

 船の出入りが多いハブステーションの港ブロックは、無重力であることはもちろん、その桟橋も多くが外側に露出している。僕の船、チキンライダー号もそういう桟橋の一つに接岸していて、桟橋内部の無重力通路を通って船内へと乗り込む。

「これが第三渦状腕最速の船、チキンライダー号ですか! 感激だなあ!」

 コックピットブロックに入り、発せられたテスカ少尉の言葉に、僕は眉をひそめる。

「第三渦状腕最速?」

 いちいち心当たりのないことを言う。

「なんのことだ?」

『あー、それですね』

 独り言のつもりだったのだが、スピーカーから答えるように声がした。

『こないだ、修理が終わって最初のシゴト、あったじゃないですか。カルリ星まで飛んだヤツ』

「……ああ、ハイパードライブの調子を見るとかって、勝手に臨界近くまで回しやがったあれか」

『それについてはあやまったでショ……とにかくあの時の飛行時間が、ギデンズ-カルリ間の最速記録だったらしくてですね』

「あやまればなんでも許されると……最速記録? そりゃあすごいけど、なんでそれが知られてるんだ?」

『荷主がすげぇ喜んで、公式認定に申請しようって。まあ悪い話じゃないと思ったんで、オッケー出しといたんですけど』

「聞いてないぞ」

『言ってませんからネ』

「オマエ、そういうこと勝手にやるんじゃないよ」

『宣伝になればいいかなって』

 密輸屋が目立ってどうするのだ。

「ずいぶんユニークな航法コンピューターですね」

『はじめまして。わたしはカイト。よろしくお願いします』

 挨拶を交わしはじめた二人……一人と一機? を放置して、僕は船長席へと座る。目の前のコンソールを操作して、出港前チェックリストを確認する。

「荷物はB3桟橋だ。あいにく先方の都合こだわりで、ドローンでのコンテナ移動はできない。こちらから受け取りに行く。管制に許可が取れ次第、移動させろ」

『そのぐらい自分でやってくださいよ。ボク忙しいんで』

「はあ?」

 いくつもの処理を並列で行いながら貨物船を飛ばす、ぐらいのこと、カイトの超高性能コンピューターにかかれば朝飯前のはず。「忙しいから」なんて言い訳になるはずがない。

『最近ボクに任せっぱなしでしょ。腕が鈍りますよ』

 真の理由はわからないが、そういうふうに言われてしまうと、それ以上強くも言えない。カイトは普通の航法コンピューターよりなんでもできるので、つい色々任せっぱなしになっていた。このままだとそのうち、「船長なんかいらないッスよね」とか言われて、僕のほうが解雇されてしまうかもしれない。

 あきらめて、自分でやることにする。ステーションの管制官に移動許可を取り、船を手動操縦モードに。座席肘置きの両手がくるあたりに、それぞれコントロールスティックとレバーが、足元にはステップペダルがせり出してくる。スティックに手を添えると、感応端末が接続される。意識の一部が船と繋がり、船の姿勢と周囲の状況を直感的に伝えてくる。スティックとレバーを軽く動かし、感触を確かめる。

「多少揺れるんで、席に付いてください。どれでも好きなところへ」

 テスカ少尉が座り、シートベルトを締めるのを確認してから、僕は船体を桟橋と接続している固定アームを解除する指示を出す。振動が伝わる。

 スティックを引き、レバーを押す、同時に周囲のボタン類、スイッチ類と、更には神経接続による意識コントロールを受け、チキンライダー号はその船体を僕の意志に忠実に動かし始める。

 姿勢制御用スラスターが短く噴射され、船はゆっくりと桟橋から離れる。ステーションから見て上方向へ。回転軸が重心より後ろになるように、各スラスターの噴射量を調整。船体はその尾部付近を中心にし、ゆっくりと後方宙返り。重心を振り回す形になったことで、遠心力で港ブロックより更に離れる。噴射剤を極力使わず船体を大きく動かす、能動的慣性機動だ。

 そのままモーメントを無駄にしないよう、縦回転したままやはり最小限の噴射でスライドさせるように移動し、B3桟橋の上空へ。

「あそこです」

 テスカ少尉が指差した先に、聞いていたクーロン星の高速貨物船が見えた。その上部貨物庫ハッチのすぐ上に付けるように、縦方向の回転速度を落としながら降下していく。スラスター噴射。

 コンテナを接続する予定の船体下部を下にして、チキンライダー号は高速貨物船の直上に、ピタリと停止した。

 固定アーム接続。正常な振動。

「誰の腕が鈍ってるって?」

「すごいですね! こんな機動マニューバ、はじめてです」

「軍でやったら怒られるでしょうね」

『ボクがやってればこの半分の噴射剤消費で済ませましたけどね』

 だったら最初から自分でやれ。

『こちらセドラン。ユウキさん、こちらの切り離し作業は完了しています』

『ちょっと待て。このオンボロ船がそうなのか? スクラップ寸前じゃないか。本当に飛ぶのか?』

『今の機動マニューバ、見たでしょ? いいから黙っててください』

 聞こえてきた無線通信。セドラン中佐と、もう一人は壮年で色黒の宇宙人、サルヴェール氏だ。ドパル星の元軍人で、退役時の階級は大佐だというから、結構偉い。現在は軍需企業デザミー社の社員で、今回輸送するプラネットデストロイヤーの管理を担当する技術者だ。なんやかんや偉そうなのは元大佐だからということだろう。

「いやなら乗らなくていいですよ」

『バカな。わたし抜きのプラネットデストロイヤーの輸送など認められない』

「あなただけ置いていくとは言ってませんよ」

 置いていく時は爆弾と一緒だ、という意味だったが、通じたかどうか。

 コンテナの接続は少尉と中佐に任せ、僕は航路の設定に取り掛かる。

「さて、それで、忙しいって言ってたな。問題はなんだ」

 カイトは手元のディスプレイに、星系図を表示させる。ただの星系図ではない。ハイパージャンプのワープアウト座標を選定するときに使う、ジャンプチャートだ。

 超空間跳躍航法ハイパースペースジャンプは、光の速度で何百年もかかるような距離でも現実的な時間で移動できる超便利な移動手段だが、行き先、すなわちハイパースペースからワープアウトした場所に“なにか”があった場合、それに衝突してしまう欠点がある。宇宙空間は広いスペースになにもないと思われがちだが、星間移動という視点から見るとちょっと違って、恒星、惑星はもちろん、小惑星や彗星などの小さめの天体のほか、デブリと呼ばれるゴミ、衛星やステーションなどの人工物など、意外といろいろなものが浮かんでいる。その他、ハイパージャンプ特有の問題として、重力波や磁場、超空間ハイパースペースゲートなどがつくる空間の歪み等も影響する。こういう重力や空間の歪みは、ワープアウト地点を大きく狂わせてしまうことすらある。僕も過去にそういう事故を起こしたことがあって、あの時はマジで死ぬと思った。

 ジャンプチャートは各星系が発行している、ワープアウトに適した場所を知らせるための地図だ。星間物流を滞り無く行わせるため、各星系で必要と思われる範囲の天体、浮遊物、磁場その他を調査したものを、誰でも閲覧できるようにしてある。運送業者が航路を設定するときに参考にする資料の一つだ。つまりこれで、ワープ出口を決定する、というわけ。

 表示されたのはコリ星系のジャンプチャートだった。チャートは当然三次元データなので、手元のタッチパネルでそれをぐるぐる回した僕は、次のようにつぶやいた。

「なんじゃこりゃ」

 チャートはわかりやすく、ジャンプに不都合なモノの存在を青で表示してある。青は点だったり、ラインだったりするが、その青がない地点が、安全にワープできる場所、ということになるのだが。

 そのチャートは、真っ青だった。

 恒星コリを中心として、第三惑星である主惑星アンタル、その二つ外側の第五惑星辺りまでが、現実的にアンタルやコリにアクセスできる範囲だが、その全てが青で塗りつぶされたようになっている。このチャートのとおりなら、アンタル近郊の宙域にジャンプすることは、不可能ということになる。

 ただ一つだけ例外があって、第四惑星の軌道上に、ぽっかりと空いたスポットがあった。アンタルにアクセスするには、事実上そこに飛ぶしかない、ということだ。

 さすがに不自然だ。これでは、内軌道内はゴミだらけ、もしくは重力波か磁気でめちゃくちゃということだ。一つ可能性があるとすれば……

「大規模な恒星面爆発フレアでもあったか?」

『そういうニュースは入ってません。そういうワケで、明らかに不自然なんですこのチャート』

 確かに不自然だ。だが、チャートを無視して飛ぶわけにはいかない。この青い範囲には、実際には何もないかもしれないが、のだ。

 とすれば、第四惑星の軌道上にある、スポットに飛ぶしかない。僕はそう言いかけたのだが。

『それで、ちょっと頑張って、過去のチャートを引っ張ってきました。それから予測される現在のチャートがコレです』

 スクリーンに、別のチャートが浮かび上がる。見慣れた、青の間にそれなりに安全な空間が見られる、普通のチャートだ。

「って、これ、おまえが想像だけで作ったってことだろ?」

『想像、なんていわないでください。ちゃんとしたシミュレーションです』

 これをやってたから、さっき操船してくれなかったのか。

 おそらく、かなり正確なシミュレーションだとは、思う。ただこれには、その後に実際に発生したイレギュラーな天体現象その他が反映されていない。これを参考に飛んで事故に遭う確率はかなり低いとは思うが、本物のチャートを使った場合に比べたら、ずっと高い。星間航行可能文明の内軌道はかなり混雑していて、事故によるデブリ発生などは日常茶飯事なのだ。

 カイトはスクリーンに、航路候補を二つ出した。

 一つは本物のチャートを参考にしたもので、ジャンプの出口は唯一の選択肢である第四惑星軌道上になる。確実に行きたいならこれだが、ワープアウトしてからアンタルまでの移動時間が長く、不測の事態が起こるとすればここだろう。

 もう一つは、カイトがシミュレーションして作ったチャートを参考にしたもの。アンタルの直近に出るので、ジャンプが終われば仕事はほぼ終わったようなものだ。しかしこちらは、ワープアウトがすんなりと行く保証がない。事故を起こしてプラネットデストロイヤーを爆発させてしまうとか、空間が歪んで遠くの宇宙に放り出される、などということも低い確率だが、ありえる。

 僕は腕組みをして、しばし思案した。安全策を取るならやはり一つ目だろう。不測の事態があったとしても、対応する余裕がある。後者は問題がわかったときにはすでに宇宙の藻屑になっている、などということもありえるのだ。

 カイトが、危険性があるにしてもこういう提案をしてきたのは、公式のチャートを明らかに信頼できないと考えており、自分のシミュレーションを参考にした場合の事故発生率は、ほぼ無視できるほど小さい、と判断したからだろう。そういう判断は信頼できるが、しかしヤツはAIなので、僕が感じている「嫌な予感」のようなものは、理解しないだろう。

 嫌な予感――僕はもう一度、公式のチャートを眺めた。ぽっかりと空いたジャンプスポット。普通に考えればここに飛ぶしかないのだが、この真っ青なチャートで、その存在の不自然なこと。まるで――

 まるで、ここに誘い込もうとしているようではないか。


 乗組員は、船長僕のほか、依頼者であり荷主のセドラン中佐、その部下のテスカ少尉、そして反物質弾頭のおまけ、サルヴェール氏。コンテナの固定は滞り無く完了。全員を乗せ、船はステーションを離れる。

 全員がコックピットに集まったところで、僕は航路について説明する。

「第六惑星軌道だと!? なぜそんな遠くに……一体何を考えている!」

 真っ先に異を唱えたのはサルヴェール氏で、まあなんか言ってくるとすればこの人だろうなとは思っていたが、それにしてもこいつ、自分の立場わかってるのか。元大佐だかなんだか知らないが、この任務では決定権もなにもない、荷物の一部でしかないのに。

「しかし、確かに疑問です。こんな遠くにジャンプしなくても、チャートにはちゃんとスポットがあるじゃないですか」

 僕が選択した航路は、先に述べた二つのプランとはまったく違い、更に離れた第六惑星の軌道上へワープアウトするものだった。公式ジャンプチャートの、青く塗りつぶされた範囲より僅かに外、という位置だ。

「そのチャート、おそらく帝国の罠です」

 僕の言葉に、元大佐と少尉は驚いたような顔を見せる。

「公共データであるジャンプチャートを、改竄したというのか?」

「帝国なら、動機も技術もあるでしょ」

「技術についてはそうだろうが、しかし、動機は?」

「臨検ですよ。連中だって、コリ政府がプラネットデストロイヤーを用意したら、取引ができなくなるのはわかってる。メーカーに手を回したぐらいですからね。しかしなんらかの手段で調達し持ち込まれる心配はまだある。プラネットデストロイヤーを星系に持ち込ませたくないが、しかし宙域封鎖を行うほどの戦力投入はできない。であれば、やってくるであろう船の進入宙域を制限する……ジャンプチャートを改ざんして、ワープアウト可能地点を小さく絞っておけば、飛んでくる船はみんなそのあたりにやってくる、であれば、少ない戦力でもチェックができる、という寸法ですよ」

「根拠は?」

 元大佐の言葉に、僕は肩をすくめる。

密輸屋運び屋の勘、とでもいいますか」

「馬鹿馬鹿しい。我々には遠回りをしている暇はないのだ。チャートが改ざんされたものだというのなら、アンタルに近い宙域へ飛べばよいではないか」

「遠回りとは言っても、直線距離は二十パーセントも変わらないし……」

 更に口を開こうとしたサルヴェール氏だったが、手を上げたセドラン中佐がそれを止める。

「ここは船長に従いましょう」

「なんだと?」

「彼の勘は信用できます。事実、我々はそれに何度も救われました」

 中佐の言葉は大分誇張されていたが、もちろんここで訂正などしない。

「我々の任務は、プラネットデストロイヤーを確実にアンタルに届けることです。チャートが信用できないなら大事を取る、というのは勘ではなく道理です。信用するに足る判断ですよ」

 僕はそこまで考えていたわけではなく、単に臆病だから安全策を取ろうと思っただけなのだが……ここは鹿爪らしい顔で頷いておく。

 元大佐は口を開きかけたが、寸前で荷主が誰だったか思い出したらしい。結局は何も言わずに引き下がる。

「ではそのようにいたします。よろしいですね」

「おまかせします」

 とはいえ、すでに航路は設定済み。ステーションから十分に離れたらハイパージャンプ、超空間ハイパースペースから出たら、そこはコリ星系、という寸法だ。思い通りにいけば、明日の朝食はアンタルで食べられるだろう。アンタルには行ったことがないが、あっさりしたものが食べたい気分だ。そういう料理があるといいのだが。

 僕の勘が当たっていても、いなくても、僕が選んだワープアウト地点なら、大きな問題、トラブルは起きないだろうと考えていた。だから僕はその段階で、明日の朝食のことを考える余裕があったのだ。

 結果的に、僕の勘は当たっていたが、コリ星系の状況は、予想していたものとはまったく違っていた。



続く

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