『ジャスコ城ノブナガ』。
これほど吸引力のあるタイトルも珍しいでしょう。ジャスコて。
時は1999年。400年にも及ぶ歳月を経て復活した魔王ノブナガ。それに挑む、明智一族の末裔ら退魔士たちの物語です。
琵琶湖のほとりのジャスコ城で。
なんで信長とジャスコなの?と思っていた時代が私にもありました。
しかし読んでいくうちに、楽市楽座令など自由な商売の政策を敷き、天下統一を目指した彼が、全国展開する大型商業施設であるジャスコに目を付けたのは凄まじく理に適っている、と考えるようになりました。
今では、織田信長とジャスコは切っても切り離せない関係にすら思えます。
魔王ノブナガの配下は、ジャスコ内の各テナントに店長として配置されています。通称『ジャスコ武将』。
この発想が凄い。店ごとの商品やサービスが『ジャスコ術』という異能として見事に昇華されていて、思わず舌を巻きました。
主人公側の登場人物たちもみんな魅力的です。
特にバディものが好きな方は必見でしょう。
漢気主人公とギャルヒロイン。イケメン聖騎士と厳つい極道。無骨な筋肉おっさんと純真な少女。
どれもいい。とてもいい。
私の最推しはベアタンクです。松田も好き。おっさんキャラが素晴らしい。
豊富な語彙で綴られるバトルシーンは迫力満点の臨場感。
展開が進むほどに熱さを増し、その中で輝く仲間たちの絆と信念に涙しました。
ジャスコなのに……いや、ジャスコだからこその戦い……
読了した今、物凄い充足感に包まれています。
きっと今後はジャスコ(イオンになっちゃったけど)を訪れるたび、聖地巡礼のような気持ちになるだろうと思います。泣いてしまいそう。
本当に素晴らしい作品でした。ありがとうございました!
現代に甦った第六天魔王、魔人・織田信長。それを迎え撃つは明智の血を継ぐ者、主人公・明智十児。
時は戦国、後に「天下の裏切り」と汚名を着せられた明智家だが、魔に魅入られし信長を斃し調伏すべく命を賭し戦った退魔師だったのであるーー。
もうこれだけでワクワクする伝奇アクションですよね!
なんですけれど…。
魔人・信長の待つ居城は、ジャスコ。
そう、あの誰もが知るジャスコです。
こんな時どんな顔したらいいのか分からない…。
シリアスとコメディの狭間で、きっとあなたも翻弄されて夢中になるはず。ついでに知らず知らずのうちにジャスコ知識が高まるはず! 望む望まないに関わらず! ああ、困った面白い!
未体験の異能バトル、まだの方はぜひご賞味あれ。
ジャスコが復活した織田信長によって、占拠された。ジャスコの屋上には城がそびえ、完全に店舗と融合していた。そしてかつて信長と共に戦い、忠義を尽くした有名な戦国武将たちも復活し、ジャスコ内の各店舗ごとに配置されている。しかも信長の力とジャスコが融合していることから、武将たちの力も店舗に由来する異能力へと変化していた。信長がジャスコを使って、天下布武を敷こうとそる中、その信長を倒すために、各地から有名な退魔師たちも、ジャスコに集結しつつあった。
中でも信長を「本能寺の変」で倒した明智の血を受け継ぐ主人公は、一人の渋谷系ギャルと共に「入店」し、戦うが、「ジャスコ武将」と化した武将から一人の退魔師が殺されるのを目撃してしまう。それでも前に進む中、各地の退魔師たちと合流することに成功する。ヨーロッパ系聖騎士。日本のヤクザ。メラネシアの音響術師。日本の東北レスラー。中国の気の使い手。などなど、多彩な面々が顔をそろえた。
しかし、退魔師たちは意外な人物の手によって、再びばらばらにされてしまう。その人物は、戦国武将ではなかった。
ばらばらになってしまった退魔師たちは、再会できるのか?
そして、勝手の分からないパートナーと共に、名だたる戦国武将を倒すことが出来るのか?
是非、御一読下さい。