第42話飛空艇に泊っても大丈夫だよね?
飛空艇に乗り込み、私達は砂漠を目指す。
しばらく飛んでいる時のことだった。
「前方から何かきます!注意してください!」
マドカが突然叫んだ。
「あれは・・・ドラゴン!?」
なんとドラゴンの群れが飛空艇めがけて飛んできた。
「ここは私にまかせてください!複数相手ならっ!」
私は杖を構える。
「お願い・・・力を貸して!いでよ、バハムート!!」
召喚魔法でバハムートを呼び出した。
『人間よ、久しぶりだな。力を貸そう・・・
フレアブレス!!』
バハムートの攻撃であらかたのドラゴンは片付いた。
「お兄ちゃん、あとはお願いします・・・。私はもう魔力切れで動けません・・・。」
「あぁ、後は俺達に任せろっ!リア、俺達を乗せて飛んでくれ!」
「うんっ。わかったっ。」
そう言うとリアが鳥形態になる。
「いいよっ、のって!」
兄と湊がリアの背中に乗り、ドラゴンに向かって飛んでいった。
リアに乗り、ドラゴンとの距離が近づく。
「わわ、お兄ちゃんっ、攻撃がくるよっ!」
リアが叫ぶ。
するとドラゴンが大きく口を開くと炎を吐いてきた。
「空間制御っ!」
湊が制御空間を作り出し、炎を反射させる。
制御空間もレベルアップのおかげか半径100mくらいになっていた。
反射された自分の炎に焼かれてドラゴンが一体落ちていく。
「さて、あと残りは一体だけど空中戦だと厳しいな。どうやって攻撃すれば・・・。」
「それならボクにいい考えがあるよっ。リアちゃん、ドラゴンめがけて、全力で突っ込んで!」
「でもそれじゃ、ぶつかっちゃうよ?」
「大丈夫、ボクを信じてっ。」
「うん、それじゃ、行くよっ!」
「空中制御っ!!」
そして制御空間を出したまま思い切りリアがドラゴンめがけて突っ込んだ。
それは一瞬のことで、リアとドラゴンが激突する寸前でこちらに向かっていたドラゴンが反射され吹き飛んだのだ。
それはまるで見えない壁にぶつかる衝撃で、ただぶつかるより威力は数倍だ。
ぶつかったドラゴンが落ちていった。
「死んではいないみたいだけど、わざわざトドメをさすこともないだろう。さぁ、船に戻ろう!」
そして俺達は飛空艇に戻った。
・・・ん?俺、何もしてない・・・?
「あ、おかえりなさいです!」
兄たちがドラゴンを倒して戻ってきた。
「おかえりなさい、湊さん、大活躍でしたね。」
マドカが湊を褒める。
「あはは、相手が弱かっただけだよ。それよりマドカちゃん大丈夫?そろそろ休憩したほうがいいんじゃない?」
「そうですね。少し腕がしびれてきちゃいました。一旦地上に降りますね。」
そして平原に降り立った。
「ちょっと待ってくださいね。魔物がこないよう、結界を張りますから。」
マドカはそう言うと、錫杖をかかげ、祈祷し始めた。
「これで大丈夫です。弱い魔物は近寄ってきません。」
「すごいね、マドカちゃん。そんなこともできるんだ?」
「いえ、すごくなんてないですよ?巫女としてこれくらいは普通です・・・。」
マドカが顔を赤らめながら言う。
すると兄が口を開く。
「もうすぐ夜になるから今日はこのまま飛空艇で休もう。」
「そうですね。私も魔力全部使っちゃいましたから・・・。」
そして今日はこのまま野宿することになった。
一応、飛空艇の中には休める部屋がある。
「とりあえず今日は持ってきたパンを食べよう。」
飛空艇にはパンと水しか積んでこなかった。
なぜなら転移魔法で町に戻って買えばいいと思っていたから。
魔力切れは想定外だった。
「ふぇぇ、ごめんなさいです。私が魔力を残しておかなかったから・・・。」
「別にいいさ。今日はゆっくり休んだらいいよ。ほのかのおかげでドラゴンを倒せたんだから。」
そしてパンを食べ終わると疲れからか私達はすぐに眠りに落ちた。
『・・・ご主人っ!起きるのだっ、ご主人っ!!』
誰かが俺に呼びかけている。
はっと、目を覚まし起き上がる。
『ようやく起きたか、ご主人。はようみんなを起こせっ!邪悪な気配が近づいておる。』
「ん、ムラクモちゃん?邪悪な気配ってなんだ?」
『それは我にもわからぬっ!マドカの結界が破られたぞ。』
「なに!?」
俺は急いでみんなを起こした。
「ムラクモ様、ありがとうございます。ホントですね。結界がなくなっています。」
『とにかく我は叢雲に宿るからあとはご主人、任せたぞ。我が起きている間は霊体でも斬ることができるからな。』
そう言うとムラクモちゃんは刀に入った。
「とにかく行ってみよう。
ほのかはここで休んでてくれ。魔力がないんじゃ戦えないからな。リアはほのかについていてくれ。」
「ふぇぇ。ごめんなさい・・・。お兄ちゃん、お気をつけて・・・。」
そして、俺達は3人で飛空艇の外に出る。
すると、何やら影が近づいてきた。
「やはり、魔物じゃなく悪霊のようです。元は人間ですね。死んだ魂が呪怨を持ち悪霊化したようです。」
マドカが説明する。
「悪霊か・・・叢雲なら斬れるんだよな?」
「はい。ムラクモ様の力を宿した今なら大丈夫のはずです。」
「よし、なら。電光關火っ!」
悪霊めがけて一撃を入れる。
しかし、寸前でかわされてしまった。
「な、かわしたっ!?」
そして、悪霊が攻撃をしてくる。
そこらに、落ちている石や木片が宙に浮き、飛んでくる。
「ぐはっ!」
大きな石が腹部に直撃した。
「湊さん、少しの間でいいので時間を稼げませんか!?」
マドカが湊に言う。
「わかった!先輩のことは任せて!」
湊はそう言うと俺のとこに駆けつけて制御空間を広げた。
「ぐ、すまない、湊。」
「先輩っ、大丈夫!?」
「あぁ、なんとかな。」
飛んでくる石は空間制御で跳ね返している。
そして、マドカは扇を取り出すと神楽を舞い始めた。
しばらくすると悪霊が弱っていくのがわかった。
「今です!!」
マドカが叫んだ。
「電光關火っ!!」
今度こそ悪霊を真っ二つに斬ると、悪霊は消えていった。
『倒したようじゃな。さすがはご主人じゃ。マドカもようやった。神楽見事じゃったぞ。タチバナの巫女として成長しておるの。』
「ムラクモちゃん、ありがとう。ムラクモちゃんが気づいてくれなかったらやばかったな。」
「そうですね。ありがとうございました・・」
マドカはそう言うと膝から崩れ落ちる。
「マドカちゃんっ!」
膝をつく前に湊が抱えた。
「マドカちゃん、大丈夫っ?」
「えっ!?あ、はい。ちょっと疲れただけですからっ。」
湊に支えられ、マドカの顔が真っ赤になっていく。
「マドカちゃん?顔赤いけど、平気?熱はないみたいだけど。」
湊がマドカの額に手を当てる。
「だだだ、大丈夫ですからっ!早く戻りましょうっ!!」
今までないくらいにマドカがあたふたしている。
ーーこれじゃバレバレだな・・・。
そして俺達は飛空艇の中に戻った。
異世界に飛ばされたけどお兄ちゃんがいれば大丈夫だよね? いもサラダ @yui01120927
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