第2話 三度目の人生

 俺は赤ん坊として生まれた。生まれた家はなんと俺の前世であるクレリーマー家だった。人狼で魔法使いと言うとんでもない家系なのだ。

 五歳になると、俺はこっそりと剣の鍛錬を始めた。一振り、一振りと真剣かつ集中して取り組んだ。今は魔法を駆使して、様々な技を使えるようになった。


「獣王流剣術――三日月!」


 そういって袈裟切りをすると、風の刃は真っ直ぐ飛んで行き、気をなぎ倒す。


「やっぱり武器の魔力伝導率が10%だときついね」


 魔力伝導率とは武器防具に伝わる魔力の割合である。魔石はほぼ100%の魔力伝導率で鉄剣は10%~20%と言ったところだろうか。

 深夜、家族が寝た頃には魔法関連の本を書いて、復習している。古びた表紙でぺーず数は多く、厚さ5㎝程になっている。羽ペンをすらすらと紙の上で踊らせた。

 翌日は「遊びに行って来る」と言って修行に出た。

 深い森を進んで、泉の所へやって来た。意識を体の魔力に傾ける。魔力が手に集中して魔力爆発が起きそうになった瞬間に脱出口を作って、そこに水の派生属性である氷の属性命令式を与えて、冷たい氷の風が放たれる。


「おーい!」


 背後から声が聞こえ、魔法を止める。


「何だ、シェーラか」


 彼女は俺の幼馴染の少女である。髪は泉の様に美しい水色で、瞳はアクアマリンの様だった。

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落第賢者のやり直し~元賢者は三度目の人生で剣を始めます~ 狼煙(アズ) @kuro2005

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