落第賢者のやり直し~元賢者は三度目の人生で剣を始めます~

狼煙(アズ)

第1話 落第賢者

 俺は勇者パーティ所属の賢者レック=クレリーマー。人狼族の魔導士である。今は魔王フェラリオンと戦闘中である。


「レック!」


 勇者が叫び、横目で俺を見る。


「任せろ!」


 俺は杖を体の前に持って来て、極大魔法を展開する。


「システム スペル アタック マジック サンダー エレメント レーザー シェイプ リリース!」


 杖に付いた魔石から轟音と爆風と共に雷のレーザー弾が放たれる。直径二メートルの水色のレーザーが魔王フェラリオンを包み込む。体の魔力が吸われるのが感じられた。枯渇しかけの魔力を振り絞る。

 めまいや頭痛が襲ってきた。ふらふらとして足元がふらつく。


「俺は…ここまでだ……」


 そういって、俺は魔力切れで死んでしまった。




 目が覚めるとそこは天界だった。金髪の女神は椅子に座って編み物をしていた。


「ここに来るのも二回目かぁ。ただいま、女神様」

「お帰り、どうだった?」

「色々と疲れましたよ。次は剣でも始めたかったな」


 俺はそう呟いた。それが聞こえていたせいか、彼女は口を開く。


「さっきの世界の400年後なら転生できるよ。やってみる?」

「本当ですか!?」


 俺は日本から異世界へ転生し、また再び転生できるとはなんと幸せな!


「じゃ、スキルを二つ選んでね」


 俺は頭に流れ込んでくるスキルを二つ選んだ。


「これで」

「【回復速度上昇】【氷結獣】ね。オッケー」


 俺は手を振る女神様に笑顔をお返しして転生した。

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