ボク達の戦いはこれからだ!
「はーるばるきたぜ、はこだてー!」
「横浜港です」
遠くに見える港を前に歌うように叫ぶ
ハンター委員会会長になった
「みんなで日本に帰るよ! 船の操縦はパンツァーゴーストの自動操縦で行けるみたいだしね!」
日本に戻りたい生徒はたくさんいたけど、海生生物がゾンビ化して巨大化し当然とばかりに狂暴化しているため渡航計画は慎重になる。言っても
レイドイベント経験者なめんな、とばかりに『大きさ150mの暗黒魔法を使うタコ』とか『沈没した戦艦を殻にする巨大ヤドガリ』とか『歯のすべてが杭打機になったパイルバンカーサメ』とか。全部きっちり退治してやったぜ!
「…………死ぬ……いっそ殺せ!」
「ゾンビになったら、楽になれる? フヒ、ヒフィフィフィフィ!」
「うみ、こわい、うみ、こわい」
……まあ、こっちもボロボロなんだけど何とか生きてる。これも
「ヨーコ先輩のギリギリ状態がデフォルトになる訓練のおかげであることは間違いありません」
「極限状態に追い込まれてパニックにならず、むしろヤケになるのはバス停の君の悪魔的精神改造スケジュールのたまものネ」
むぅ、福子ちゃんとミッチーさんからそんなツッコミがはいるのが解せぬ。
ともあれ海の危険は消えた。これで戦えない生徒たちの渡航も難しくはない。うん、ないはずだ。
「おかしいデスネ? 視認できるぐらいに港が見えてきたのに、無線連絡とか入ってこないデスヨ。日本じゃこういう時って港から船名確認とかしないんデスカ?」
「音子は船舶に関しては詳しくないので何とも……」
「っていうか、ほかに船が見当たらないんだけど」
港が近づくにつれて、(比較的元気の残っている)生徒から疑問の声が上がる。そしてもう少し近づいたときに、その理由が判明した。
ゾンビ。
港を埋め尽くす大量のゾンビ。島で何度も何度も何度も見てきたゾンビだ。一般人のゾンビ、船員のゾンビ、犬のゾンビ、カラスのゾンビ……これはぁ……。
「もしかして、オウカウィルスが広まったは島だけじゃなかった……?」
「だから太極図を使って人類の階梯をあげたかったんですよ」
ゾンビだらけの島から脱出したら、そこもゾンビだらけだった。
B級ホラー映画のオチとばかりの展開だ。やっぱりこの世界クソゲーだ! 開発者出て来い!
「……ふ」
映画なら、ここで絶望してエンディングテーマだ。せまるゾンビの視点になって地面にへたり込む
画面が暗転して、そのまま暗い音楽とともにスタッフロール。最後にゾンビの唸り声か肉を咀嚼する音がすれば完璧だね。
「ゲームクリア後の高難易度モードだね! さあ、ガンガン行くよ!」
だけどそんなエンディングを受け入れる
「ヨーコ先輩ならそう言うと思ってました。ええお付き合いしますとも」
「バス停の君らしいデスネ。日本のことわざで言うところの、長いゾンビ道を登り始めたところデス」
「音子が先に降りて先行しますので、突撃は控えてください」
「あー! ファンたんもいくっすよ! こんなスクープ一番で撮りたいっす!」
「新しいネイル買いたかったんだけどなー。これじゃ売ってないか」
「くっくっく。血が滾るとはこのことか。今宵の『凩』は血に飢えているぞ」
そして
ボク達の戦いは、これからも続く。
未来は暗いように見えて、なんだかんだで楽しく騒々しい。生と死の狭間だからこそ、日常が愛おしい。
さあ、行こう。今度はどんなイベントが待っているの楽しみだ! どんな世界でも、皆と一緒なら戦える。愛する人がいるなら頑張れる。
「
―――――――――――――――――――――――
バス停・オブ・ザ・デッド ~ボクはゾンビゲームにTS転生した!
<The End!>
バス停・オブ・ザ・デッド ~ボクはゾンビゲームにTS転生した! どくどく @dokudoku
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