昇華

 しばらく会っていない人が突然死んでしまうと、喪失感の表現が難しくなってしまう。もしかすると、あれからもうずっと会わなかったかもしれないし、そう考えると、その死の実効的な影響は殆どなかったことになる。でも、死はやっぱり死で、もう会うことはないという確定事項が私の部屋にどかどか乗り込んできて、それがあまりに横暴だから、やっぱり心からその事実を追い出すことができなくなる。

 バイトを辞めて、ふと新年を無職で迎えることになった。気がつけばもう三ヶ月も経っている。その間何をしていたかと思いだそうとしても、湯沸かし器が壊れて、外に出る用事もないから一週間も風呂に入らないでいたら身体が臭くなってきて、なんだかもう死んでしまおうかという気分になった思い出くらいしか残っていない。

 外に出る用事もないからと書いたけれど、歯医者の予約も精神科の予約も、見たかった映画だってあった、ゴッホの展覧会だってあったけれど、全部すっぽかしてひきこもっていた。そろそろお金も尽きそうだし、私はまた別の理由でいまも死にたくなっている。

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螺旋 @aisoku

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