ついてはきえ、きえてはまた現われる。傷つけぬよう、つかまえようと手を伸ばすが、またきえて。男たちの煩悩の権化となった半太夫。昼と夜の無間地獄を彷徨い、また舞台へ妖艶にかえってくる。蛍の光をたどった先、半太夫が手にするものは――ぜひとも、ご堪能あれ。
語り手の切り替えの妙味、狂わしき恋か自己愛か、結末は読み方によっては空恐ろしきものともなる。幻想的と言っても過言ではない素晴らしき作品!