Last phase.メイドさんハピネス
<side ♀>
そんなワケで、ボクは利明さんのガールフレンドになったんだけど、だからって日々の生活が、大きく変わったワケじゃない。
強いて言うなら……うーん、毎朝俊秋さんを起こすのが、ボクの仕事になったことと……。
「ほ~ら、俊秋さん、そろそろ起きないと。今日も大学あるんでしょ?」
「んーー、きょうこがおはやうのキスしてくれたらおきる……」
「もぅ……しょうがないなぁ」chu!
──カバッ!
「! い、今のは……!?」
「あ、目覚めました? じゃあ、朝ごはんできてるから、支度してくださいね」
俊秋さんの分の朝ご飯をボクが作って、一緒に食べるようになったことと……。
「はい、あ~ん」
「あーん……うん、また、腕を上げたな、今日子」
「えへへ~、まぁ、パンケーキとサラダとカフェオレくらいは、ね。
そうだ! 今夜のビーフシチューは、ボクも手伝う予定だから……」
「ああ、もちろん、楽しみにしてるぜ!」
あとは、俊秋さん帰って来たときのお出迎えも、ボクがすることが多くなったかな?
「お帰りなさい、俊秋さん。今日もお勉強、御苦労さまでした」ペコリ
「ただいま、今日子。あ、カバンはいいって。俺が持つから。それより、ちょっと喉が渇いたから、お茶の準備、頼んでいいか?」
「はい、じゃあ、ちょっと暑い今日は、爽やかなミントティーにしてみますね♪」
まぁ、それくらいだね。ああ、もちろん毎晩寝る前とかにふたりで話する機会が増えたし、お休みの日には一緒に出かける……その、で、デートすることも多くなったけど。
久しぶりに街で会った短大時代の友達3人とお茶して、近況報告も兼ねてそんなコトを話してたんだけど、なぜか3人ともゲンナリした表情でグターッとしてる。
「あれ、どしたの、みんな? 退屈だった?」
「い、いや、キョウちん、あんた……」
「はいはい、御馳走様……ってか、砂糖吐くかと思ったわよ!」
「ここまであからさまに惚気るとは……天然娘、おそるべし」
? なんでさ?
お目覚めのキスは別に唇じゃなくて頬っぺに軽くチュッてしただけだし、朝ご飯も「あーん」するのは最初のひと口だけだし、お出迎えだって、俊秋さんは毎日大学から真っ直ぐお屋敷に帰って来てくれるから、別に大変じゃないよ?
「もーいい、アンタは、もうしゃべるな……」
???
「あ、そろそろ3時だ。じゃあ、ボク、これから俊秋さんと待ち合わせだから、先に出るね。これ、ボクのお茶代」
今日は、そろそろ夏物のお洋服を見に行く予定なんだ。お屋敷では制服があるから、私服を着る機会はあんまりないけど、デートの時くらいは、やっぱり多少はオシャレしたいしね。
それに……実は、密かにプールに行く時のための、水着も選んでもらおうかな、って思ってるんだ。
俊秋さん、どんなのが好きかなぁ。エヘヘ。
あ! いたいた。
「俊秋さーん、こっちこっち!」
* * *
「ねぇ、どう思う?」
「明らかに、ガールフレンドって域を超えてるでしょ、アレ! むしろあからさまにバカップルよ、バカップル!」
「まぁ、俊秋くんなら、あの子を大事にしてくれそうだし、あたしらとしても安心だし」
「むしろ、余計なお世話かも。自分達のお相手を見つけるべき?」
「ぐぁ……夏美、アンタ、あいかわらず容赦ないわね」
-とりあえずfin-
嫁とは年中無休&無給のメイドのこと? 嵐山之鬼子(KCA) @Arasiyama
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