1-13.「もふもふ」に縁が無い

 薄々勘づいていたけれど、最近になってようやく自覚した。拙作にはほとんど、動物が出てこない。

 ここで言う“動物”とは、人間以外の実在する生き物のことだ。特に、一般的に人気な毛の長いふわふわした生き物。いわゆる「もふもふ」というのに私の作品はてんで縁がない。


 それをよく思い知ったのは、最近、そうした動物が登場する作品を募集した自主企画を複数目にしたのがきっかけだ。「もふもふ」という単語を使うのも若干抵抗感を覚える私は、それでも、自主企画はお祭りだから何か賑やかしになる作品はないだろうか……と拙作の一覧を眺めた。

 そして気づいた。公開している作品の中に、該当するものはひとつもないと。


 以前、エッセイの中で「食事シーンを忘れがち」という話題を取り上げたことがある。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054892430828/episodes/1177354054892432264

 今回の、動物がちっとも出てこない……というのも、これに似た現象かもしれない。

 そもそも、ふわふわした生き物を登場させるという考えが浮かんで来なかった。でも、「もふもふ」がいれば孤独な主人公の胸の内を吐露させることができるし、「もふもふ」の高額取引があればその土地の文化の表現もできる。効果的に使えば、「もふもふ」は単に可愛いとか癒される以上の存在感を持って、物語に出てきてくれる。


 ただ、私はほとんど「もふもふ」した生き物を触ったことがない。昔、友達の家で人生ゲームをしていた時に、室内で飼われていた大型犬にのしかかってこられたのをきっかけに、なんとなく「もふもふ」と距離を取っている。猫が大好きな友人が、猫に指を噛まれて出血している現場に居合わせたこともある。故に、雑談でよく聞く「犬派?猫派?」という質問に対する答えを持ち合わせていない。どっちもかわいいし、どっちもちょっと怖い。


 しかしコロナ禍の影響か、昔よりは関心を持つようになった。時々、動物の動画なんかを見て束の間の癒しを得ている。いつか、私の作品にも「もふもふ」が登場する必要性が出てくるかもしれない。

 まずはその時のために、友達が飼っている柴犬を撫でるところから練習しなくちゃなぁ、なんて思う。

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