1-12.無音の中で書きがち
私は音楽が大好きなのだけれど、小説を書く時はどうしても音楽を聴けない。多分、集中力がないんだろう。音楽が好きなので、どうしても音楽が流れているとそちらに気を取られてしまい、手元が動かなくなる。
また、あえて聴かないように心がけている部分もある。それは、曲に小説が引っ張られないようにするためだ。
無意識のうちに、歌詞の引用に近いことをしてしまったり、曲を聴かないと意味がわからない描写をしてしまったり、その曲が使われていた映像作品の場面を思い出してしまったり。そういう事態が起こり得る。こうなると、目の前の自作品に向き合えない。
ただ、こちらの作品だけは意識的に音楽を流しながら書いた。
「ティーンズ・イン・ザ・ボックス」※現在非公開
これは、近未来のハイスクールを舞台に、内気な少女と顔のない少年が出会う青春恋愛小説だ。この作品には、ダンス/テクノ/エレクトロニカミュージックが欠かせない。そのため、音楽が流れる場面では、音を文章に落とし込むために色々試行錯誤しながら音楽を聴いていた。
何をどう聴いていたのかは、別のエッセイ「音楽と、時々ものがたり」内のこちらに書いたので、ご興味があれば。
5.Daft Punkと拙作「ティーンズ・イン・ザ・ボックス」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897097110/episodes/1177354055059718942
こうした用途がない限り、音楽を聴きながら小説を書くのは結構大変だ。執筆に関する雑談で、「どんな音楽を聴きながら書いてますか」という話題は出てきやすい。だけど残念ながら、私はそうした話題に参加出来ない。音楽、好きなのに……。
その代わり、がりがりと執筆に集中した後で思いっきり好きな音楽を聴くと、執筆スイッチが一気にオフになって、我にかえったような心地になる。あの瞬間はとても好きだ。物を出し切ったスポンジみたいな脳味噌や体に、音楽がぐんぐん吸い込まれていく。
それに、部屋の中は無音だったとしても、窓の外からは色んな音が聞こえてくる。そうした当たり前にある音を聞きながら作品と向き合う時間は、そんなに悪くないなぁと思っていたりする。
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