1.執筆あるある

1-1.食事シーンを忘れがち

 普段、自分があまり食生活に関心がないせいだろうか。油断すると、登場人物たちが何も食べずに過ごしてしまいがちになる。正確に言うと、単に食事シーンをすっ飛ばしてしまう、というクセがどうしても抜けない。意識しないと、本当に食べない。何にも食べない。


 食事シーンが、物語の世界観を表現するチャンスなのは頭では分かっている。

 美しく輝く白い器に盛られた鳥の丸焼きは、富の象徴。それを見て「もういらない」と言う登場人物がいれば、彼/彼女は豊かな暮らしに飽きている。今夜あたり、窓辺に現れた謎の誰かに唆されて、家出をしてしまうかもしれない。

 ふっくらした焼き魚と、お椀に山盛りになった白米を見て首を傾げている人がいたら。もしかしたらその人は、異世界から日本にやってきたのかもしれない。


 とかなんとか、わかっちゃいるけど忘れちゃう。それが、食事シーン。


 この、「食事シーンを忘れがち」というのに気付いたのは、こちらの作品を友人に見せた時のことだった。


「アオイのすべて 〜第四十一代司教に係る司教記録本」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888774935


 主人公は、自分が暮らす「クアドラート」の街の司教への密着取材のため、教会で一週間弱を過ごすことになる。


 本作を最初に書き上げ、友人に見せた時、「お酒とアイスは出て来るのに、ご飯全然食べないね」と言われて驚いた。私はその時、「そもそも食事シーンを自分が書いていないこと」に、全く気付いていなかった。

 その後、まぁあってもいいよなぁと思って書き足した食事の場面は、「質素かよ」と苦笑いされてしまった。


 もう少し、世界観の表現のために、意図的に食事シーンを入れなきゃいけないなぁと、改めて思ってみたり、忘れたりする、今日この頃であった。



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