第2話 神崎若葉は天使だから、横断歩道の黒いところを踏むと死ぬらしい

 神崎若葉かんざきわかばさんは、俺と同じクラスの高校二年生だ。


 先ほどの可愛い後輩である、桜木ちろるからの告白を受けても、その返事を保留してしまうほどに、俺の大好きな女の子である。


 マザーグース曰く、『女の子はお砂糖とスパイスと素敵な何かで出来ている』らしいが、神崎さんは間違いなく純度100%の「可愛さ」で構成されている。

(ちなみに男は、『ぼろきれやカタツムリ、子犬の尻尾』で構成されるらしい。)


 しかもただの「可愛さ」ではない。彼女は「素の可愛さ」でできているのだ。


 「可愛いは作れる」なんて、誰が言いだしたのかは知らないが、「人工的に作りあげた可愛さ」と、「本人の素の可愛さ」では、やはり「素の可愛さ」にこそ男は惹かれてしまうものだ。


 神崎さんは見た目はもちろん、内面もとにかく素で可愛い。


 神崎さんの素敵なところをあげろと言われたら、100個くらいはすらすらっと羅列できる。


――以下、神崎さんの紹介がてら、俺が思う彼女の可愛いらしいところを羅列する。


 【神崎さんの可愛いところ】


・声優の花澤香菜さんに似てる可愛い声


・パンテーンのCMに出られそうな艶のある黒髪


・ふくらはぎのラインが美しすぎるすらっとした細い足


・身長は158㎝で、話すときは少し上目遣いで見あげてくる


・水を弾くほどのきめ細かい新雪のような白い肌


・かなりの運動音痴(スキップできない)


・握力もないから、ペットボトルをなかなか開けられない。


・お茶を飲むとすぐにむせる。


・ペットボトルやカラオケのマイクなど、手が小さいのでリスみたいに両手で持つ


・ペットボトルにふぅっ~と息を吐いて笛にして遊ぶ。


・よく授業中に身体を左右に揺らして振り子のようにうとうとする。


・吹奏楽部に所属し、桜の木の下でフルートの個人練習をしている。


・「えへへ~」とはにかんで笑う。


・帰り道の横断歩道は、白いところだけを跳ねるようにして渡る。

(彼女は天使だから、黒いところを踏むときっと死んでしまうのだ)


・彼女が通った後は空気が綺麗になり、彼女の吐息からはマイナスイオンが出てる。

(俺は神崎さんの肺を、歩く空気清浄機と呼称している。)


・神崎さんからは、お花畑のようないい匂いがする。

(俺は彼女の体臭を、天然芳香剤と呼称している。)


・神崎さんの後ろには、常時キラキラしたスクリーントーンの幻覚が見える。

(ラブコメ漫画で見られるキラキラしたあれである。)


・神崎さんはこの世の可愛いの集合体であり、純度百%の可愛さで作られている



 ※ 後半のものは所説あるが、彼女の可愛いことに間違いはない。


 神崎さんからはこの世の可愛いが溢れ出しており、もうその可愛さで地球全体を覆い尽くせるほどだ。


 可愛いは正義であり、それを愛でる俺の大いなる愛はきっと世界を救う。

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