第4話 狩りをしよう
「探すとしたら木の実や動物かな。
毒性があるかは調べられる?」
『直接、接触していただければ成分の分析が可能です』
「じゃあ、手当たり次第触っていくから分析宜しくね!
では、出発しよう。」
『マスター、少しお待ちください。
その前に動物を見つけたときのために魔法の練習をしておきましょう』
「確かに見つけても素手じゃ狩る手段がないかな」
『風の分析で真空波を飛ばすことが可能です』
『真空波かー、やっと魔法少女っぽくなってきたね。
名前は…‥ エアブレイカー にしよう!』
『では、目標の気に向かって名称を言いながらステッキを振ってください』
ここなは言われるままに近くの木に向かってステッキを構えた。
「エアブレイカーッ!!」
ステッキを振った先に大きな真空波が発生し木に向かって高速で飛んでいった。
ヒュパ、スパッ… ドオォーーーン
「えっ!?」
目標とした木と後方の木々が大きな音を立てて倒れた。
「ちょっ‥ ちょっと威力強すぎじゃない!」
『マスターは魔力が膨大ですから、魔力制御を練習して威力を調整しましょう』
「うぅ…‥ 頑張ります」
小一時間ほど近くの木に向かってひたすらにエアブレイカーを連発するここなであった。
ヒュッ、スパ
「こんな感じかな、小動物ならこれくらいが丁度よさそうな威力だね」
『お疲れ様です、マスター。
だいぶ上手になりましたね』
「魔法って楽しいかも!
では、改めて出発だね」
『まずは探索魔法で周囲に動物がいないか探してみましょう。』
「さっきみたいに音を立てて探すの?」
『外では音が反射せず分散してしまうので難しいです。
その代わり魔力を放射して探索可能です。
マスターの魔力量なら半径500mくらいは可能かと』
「おおっ!それは楽に探せるね。
それはどうすればいいの?」
『距離を出すために変身して、力を解放するイメージでお願いします。
探知結果は網膜に表示しますので目の前に3D表示されますよ』
「ところで魔法少女って変身時に決め台詞やポーズがあるけど、私はないの?」
『現実としては必要もありませんし敵に攻撃の機会を与えるだけです。
それでも、自主的に行う魔法少女もいますが数年後に封印したい過去になるそうです』
「うっ、やめときます…‥。
絶対に大人になったとき後悔しそう」
『尚、魔法少女は成長が止まりますので大人になる心配はありません』
「『えっ』」
「ええぇぇーーーー!?」
「私、ずっと中学生のままっ?身長も伸びないし胸も成長しないの?」
『落ち着いてください、マスター。
大人や初老になった時に魔法少女の服を着た事を想像してみてください』
「確かにそれは嫌かも…‥。
納得は出来ないけど一旦保留にしよう。
まずはご飯を探すことに集中で」
ここなは変身してステッキを両手に握り全身から気を放出するイメージに集中した。
頭の中ではドラ○ン○ールをリアルに再現しながら……。
…‥
…
‥
『動物と思われる反応を捕捉しました。
マップに表示します』
ピコーン
「これはドラゴンレーダーッ!?」
『マスターが分かりやすいようにイメージしました』
「これなら分かりやすい、ありがとう!
では、獲物に向かって出発」
森のなかを200mほど進みレーダーが示すすぐ手前まで一気に移動した。
「音を立てないように近づかないと…」
そろりそろりと忍び足で近づくとウサギっぽい動物がいた。
ただ、普通と違い頭に立派な角が生えていた。
「アルミラージッ!?」
『マスター、静かに!』
ウサギらしき動物がこちらを振り返り近寄ってきた。
「なんか逃げずに近寄ってくるし、牙みたいなのが見えるんだけど…‥。
これって私がご飯に見られてる気が。
ラリホーに気を付けた方がいいのかな…」
『明らかに敵対心を持ってると思われます。
先手で仕掛けましょう!』
『エアブレイカー!』
ヒュッ、スパ 。ポトリ
「げっ!?」
『お見事です、マスター』
エアブレイカーの真空波はウサギの頭と胴体をキレイに切り離した。
「お見事じゃないよっ!
どこのスクラップ映画だよ!」
『マスターが普段食べている肉もどこかの屠殺場で解体されています』
「理屈はわかるけど……。
食べるのに内蔵出したり解体するのは無理だよ…‥」
魔法少女とはいえ日本の普通の女子中学生では当然の反応である。
海外では生きた鶏などが売っていて自宅で解体する光景も普通であるが、日本で経験したことがある人はじょぼいないだろう。
「どうしようか、これ…‥」
狩りが成功したが、別の問題が立ち塞がったのであった。
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