第2話 魔法少女って何?

「どうして地球じゃないって分かるの?」


色々ありすぎて状況に追いついていないここなだが、気持ちを落ち着けて単刀直入に質問した。


『いくつかの要因から断定とはいきませんが、ほぼ間違いないと推察されます。


まず第一に地球上ならどこでも観測できるGPSや通信用の電波が一切飛んでおりません。


次に空気の構成が若干地球と異なっております。

酸素もあり濃度も地球と変わらないため、マスターの生存に影響はありません。


第三に魔力とは少し異なりますが未知のエネルギーがいたるところで観測できます。これは地球ではあり得ません。


他にも細かい点もいくつかありますが主だったものは以上の3つです』


ぽかーーーんと説明を聞くここな。


「なっ、なるほど、大体理解できたわ!」


半分も理解できていないが見栄をはる万年赤点のちょっぴり残念なここなである。


「ところで精霊ってGPSも受信できるの?」

『では、魔法少女について説明しましょう。

アニメなどで見る魔法少女と同じで悪の勢力と戦う点では一緒です。

マスターの記憶にある何でも実現可能な魔法は使えません。

簡単に言えば魔力を使用して物質に対して化学反応を発生させます。

例えば、火を起こす場合は分子を加速させ酸素を燃焼することで………』


そこでここなの目が点になっていることに気づいたウルは説明を止めた。


『マスターが命じて頂ければ私ができる範囲で実行させて頂きます。』

「魔法少女になってまで、理科みたいなことを勉強することになるとは………。

今はどんなことが出来るの?」

『地球とは異なるため理を解明しないと簡単な魔法しか使えないと思われます。

大気の構成は解明済みですから火を起こしてみましょう。』

「えぇーーっと、どうすれば良いのかな?

格好良くポーズを決めながら呪文を唱えるとか?」

『まずは魔法少女のステッキを手に持つように念じてください。

簡単な魔法なら変身する必要はありません。

そのまま火が出るように念じるだけです。

あとは私が処理しますので』


ここなが手にステッキをイメージすると一瞬で手の中に現れました。


(火よ、出ろ!)


そう考えた途端、ステッキの先に大きな炎が浮くように出現しました。


「おぉおっ!?ちょっと大きすぎっ!

密閉空間で焼け死んじゃうなんて冗談でもないよ。

でも、本当に火がついたよー」

『初魔法おめでとうございます。

魔力量の大きさによって、魔法の規模や範囲が変わってきます。』

「私の魔力量はどれくらいあるの?」

『それがここな様を選んだ理由ですが、魔力量が普通の魔法少女より遥かに多いです。

ですが、勉強も出来ず他に特技がないマスターはちょっぴり残念でこれからが心配です』

「残念っていうなぁーーーー!!」

『あと魔法少女は各々固有魔法が使用できます。

これは先ほど説明した科学的な事象を超越した事が実現可能です。

綾乃という魔法少女は無から武器が精製出来たようです。

マスターもいずれ発現するものと思われます。』

「そっかー、私だけの魔法なんて楽しみだなぁ。

ここはチートな固有能力が……」


色々と妄想しながらここなは火で明るく照らされた室内を見渡した。


「古い遺跡かなぁ?」

『埃の状態からして放棄され長い年月が経過しているようです』

「せっかく魔法少女になって世界が救えると思ったのに……。

これからどうしたらいいんだろう?」

『まずは生命維持の為、衣・食・住を確保しましょう。

着るものは制服と変身すれば魔法少女の衣装もあります。洗濯しなくても汚れは魔法で洗浄できますので当面は問題ないでしょう。


次に住居はこの遺跡を当面使用します。


あとは食料と飲み水の確保が緊急の事案となります。』

「何か無人島生活みたい………。

想像してた異世界生活じゃないかな…。

カバンにおやつのリンゴタルトがもっているけど、非常食として残しておいて外を探索してみようかー」


がっかりして気乗りしないが餓死なんてもっと嫌なので、しぶしぶ外に出てみることにした。

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