第6話
「えっと? 何がです?」
「晶を呼んでくれて。じゃ、ちょっとスタッフに報告して、晶を出せないか聞いてみるね」
「あ、了解です。出してもらえるといいですね」
僕がスタッフの所へ走って晶をなんとか出せないかの直談判を行ったら一発で了解が取れたので晶にゲストとして出てもらう事になった。
「晶、大丈夫だって。一緒に出よう?」
「いいよ。セナと同時に出して貰える、嬉しいね」
今日のタイトルコールは僕と晶だけで行った。小田原城を上って天守閣までの順路をゆっくりと巡り天守閣からの映像を撮ったりしていたら、おやつの時間になったので、外郎(ういろう)を食べに行く事にした。
「晶の車僕らが買いに行くかね。それともバラバラに行って、そのあと晶と解散するか」
なんて話をしていたらスタッフが外郎を買って帰ってきた。
柔らかな食感でふんわりと口の中に広がる甘さが美味しさを増して、僕の口を幸せにしてくれる。
外郎を食べ切り、四人で話しながら晶と僕は煙草を吹かしている。そんな映像を写していいのか僕にはわからないけど、スタッフからは許可が下りているから僕らは平気で吸いたいときに吸っている。
「ねぇ、晶、少し離れた所で話したいからいいかな? スタッフさん、僕と晶の姿は撮影していてもいいんですけど、このマイク外してもらっていいですか?」
「セナ? いきなりどうしたんだい? 僕はいいけども、スタッフさん達大丈夫ですか?」
画面の外でスタッフが頷いた瞬間カメラが下向いて僕らにスタッフが駆け寄ってきてマイクを外してくれた。
「ありがとうございます。じゃ、ちょっと僕とセナは離れますね」
「晶、行こうか。ごめんね紅葉、莉桜。いきなりの我儘で」
「大丈夫ですよ。何したいか、私は何となく察していますし」
「私も! セナさん、ここが勝負所ですよ!」
「あはは、二人にはバレちゃってるか。照れるけど、僕の勝負だからね、行ってくるね」
僕らは莉桜達やスタッフから見えるけど人通りが居ない端の方に寄り、晶を壁側に立たせて、自分の気持ちを晶に伝える事にした。
「晶、ごめんねいきなり。少し我慢できなさそうだから、自分の気持ち伝えたいんだ」
「確かに突然だったけどさ。僕がセナの希望を叶えなかった事なんてないだろう?」
「瀬崎 晶さん。今日を逃すと言えない気がするので言っちゃいます。貴方の性格が好きです。貴方の声が好きです。貴方自身が好きです。貴方を愛しています。僕が貴方のモノになるのが僕の希望です」
「ごめん、なんかドラマの役みたいな台詞に思っちゃった。でもね、セナ、君だけが好きだと思っちゃいけないよ」
「えっと、ダメ……? ってこと?」
「セナ、君の素の言葉で知りたいって事」
「もう一度、チャンスをくれるって事でいいの?」
台詞見たいな言い回しをして、怒られちゃった。
もう一度チャンスをくれるからもう一度言いたい。
「僕さ、君の事好きなんだよね」
(了)
依藤セナの旅―SLCB~CampRing~ @e10ulen
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