第4話
王太子を誑かすのは簡単な話だった。
商人のお坊ちゃまどころではない、王家と言う究極のお坊ちゃんだ。
流し目一つ、科を作るだけで容易に籠絡できた。
簡単すぎて拍子抜けするくらいだった。
婚約者だと言う公爵令嬢を陥れるのはもっと簡単だった。
直接挑発する必要などなかった。
王太子が私に夢中になると同時に、冷静さを失った。
だがそれだけでは準備不足だった。
言い逃れが出来ないように、周りの取り巻き令嬢を先に金で買収しておいて、罠に嵌めた。
周りの令嬢に囃し立てさせて、婚約者に軽く突かせた。
後はベランダが落ちる振りさえすればよかった。
私の虜になっていた王太子は、婚約者が邪魔だった。
ろくな調べもせず、私と裏切り者の婚約者取り巻き令嬢の証言だけを取り上げて、自分の婚約者を断罪した。
愚かな事だ。
元婚約者の兄と言うのが、妹の無罪を調べていたが、王太子の命で男爵が陰で処分した。
これで男爵は王太子の弱みを握った。
私への劣情と、弱みを握られた事で、王太子は男爵の言いなりになった。
王国の藩屏だった公爵家は大きく力を失った。
娘が修道院送りとなり、優秀だった息子を暗殺された。
いや、息子を暗殺されただけでなく、騎士道不覚悟で謹慎処分とされた。
後は私と男爵の思いのままだった。
私の性技と男爵が取り寄せた麻薬で、王太子は木偶になっていた。
王太子に命令させる形をとって、次々と王族を殺していった。
私は王太子の子を身籠った。
確かに王太子の子供だ。
これが私の切り札だ。
王がどう出ようと、男爵がどう動こうと、王太子の子がいれば、何とでもなる。
だが一人では心もとない。
二人目三人目を宿す努力をした。
だが残念ながら、男爵が与えた麻薬の弊害で、王太子の男性能力が不能になった。
しかも王太子が狂気に囚われるようになった。
慌てた私と男爵は、急ぎ残った王族と国王を殺し、王太子に戴冠させた。
何とか間に合ったが、戴冠してしばらくして王太子は死んだ。
だが私も男爵も、その時はまだ権力基盤が確立できていなかった。
私達が最初に陥れた公爵家や、他の公爵家が残っていた。
王宮内の王族は皆殺しにしていたが、庶流の公爵家は残っていた。
だから影武者を立てて時間を稼いだ。
多少の無理はしたが、全ての公爵家を取り潰し、私と男爵は王国の権力を完全に掌握した。
その頃には、男爵は侯爵になっていた。
いよいよ私と侯爵の戦いだ。
私は絶対に勝つ!
絶対に勝って、私の子や孫に王家を継がせる!
売春婦は男爵令嬢になって復讐する 克全 @dokatu
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