第7話 俺、腐った人間の才能あるかも。

さあて昼休みだ!本当ならここでツブヤイッターなりラノベを読むなりするところだが、今日はちょっと用事がある。

担任の三島先生と彼女を別れさせなければならない。

しかも情報提供者(クラスの皆)によると、昼休みに会うと言うじゃあないか。



『相模!このクラスの全てはお前にかかってる!』

『特攻だ!特攻してこい!』

『攻撃戦だ!《コンギョ》』

『俺死にたくないんだけど!?』

『お前が無事に仕事を終えたのなら、一杯奢ろうじゃあないか』

『未成年だぞ俺!』

『分かったよ、じゃあお前が欲しかったCDなら』

『よし分かったやろう』

『さっすが相模!』

『期待してるぞ相模!』

『特攻してこい相模!』

『最後のは聞き捨てならねえ!』



てな感じで。俺はCDの為にこの仕事を引き受けたのであって、決して私情ではない。・・・本当だぞ?本当だからな!

仕方なく『インビジブルパーカー』を来て、先生の後をつける。

先生は校舎裏に向かっている。何故校舎裏?普通来ないと思うんだが。

(生徒は基本立ち入り禁止、教師もこの辺虫多いから入らない、外部の人なら分からないと思うんだけど・・・)

「・・・予定より5分早く来てしまったな。待ってるか」

(嘘だろ!?もうすでに虫にたかられてるんだが!?)

蝿や蚊、その他小虫にたかられ、かなり体が痒い。しかしここで掻き毟り、変な声を出そうものなら、間違い無く気づかれる。

(あのスピーカー使うにも遅い・・・)

結局虫にたかられるのは変わらない。

「あら、三島先生。随分とお早いですね。」

「こんにちは、中島先生。仕事の方は」

「とりあえずこの昼食時間中はお休みですね」

マジか。相手はあの中島先生。保健室の先生で、その美貌から『白衣の女神』なんて呼ばれている。

ただしその正体は典型的な『結婚したい女』だ。

28才なのに、ぜんぜん美しいのに、面白いくらい結婚しない。

しかもそれで本人は「行き遅れた」なんて思ってるからさらに面白い。

「でも、ここは虫が多いですね。場所を移しますか。」

「そうですね」

はあ、また移動か。・・・虫よりマシか。



「分かんなかったんでしょうね、テストの答案に『桶狭間の戦い』じゃなくて『夢狭間の戦い』って描いてて」

「ふふふ、分かんないけど書くのは大事ですからね」

いつまで談笑に浸ってやがる。

場所は保健室。密閉空間みたいなもんだからあの虫も入れない。そして先生がドアを閉めたから、俺もこの部屋から出れない。

なんせ姿が見えないからな、俺。いきなり何も無いのにドアが開くとかホラーでしかない。

「・・・先生、今日はお願いがあります」

お、中島先生が動いた!

「今夜、私の家へ来てもらっても」

「いいですよ!もちろん!」

・・・どうやら、残業する運命のようだ。

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こちら、アンチリア充委員会、カップル課です。 白楼 遵 @11963232

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